研究課題/領域番号 |
23530838
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
金政 祐司 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (70388594)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 青年・成人期の成人のアタッチメント / 社会のイメージ / 適応性 / アイデンティティ / 就職動機 |
研究概要 |
本研究は、青年期において重要な課題として考えられる自己の確立や社会への動機づけの形成といった問題を対人関係の枠組みをも含めた問題として提起し、青年期の適応性の向上を視野に入れた実践的且つ応用可能性の高い知見を現出するものである 平成23年度は、青年期の愛着スタイルや青年期での特定の相手への愛着の機能が、自己の捉え方やアイデンティティの確立、将来への展望や社会と関わることへの動機づけに対して及ぼす影響について検討を行うための準備として、自己目的化ならびに社会イメージに関する調査を行った。 自己目的化については、今回の学術研究助成基金助成金を用いて行った調査ならびにこれまでに行ってきた調査結果から、自己目的化と自尊心や自己愛傾向との関連、また、自己目的化と親密な友人からの評価との関連を「自己目的化尺度の作成とその検証-自尊心、自己愛、友人からの印象との関連から-」というタイトルの論文にまとめた。論文は対人社会心理学研究に掲載された。 社会イメージに関しては、まず、大学生が抱く社会に対するイメージについて自由記述での調査を行った。その調査から収集された記述を分類分けし、社会イメージ尺度項目を選定した。次に、上記の調査から作成した尺度項目を用いて社会イメージ尺度を作成するための調査を行った。その調査に関しては、現在分析中であり、それらをまとめて学会などで発表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度、自己目的化に関連する調査を1度、社会イメージに関する予備調査を1度ならびにそれを踏まえた調査を1度行ったことにより、本研究の目的を達成するための調査の実施の準備が整った。自己目的化に関連する調査では、友人ペアを対象に自己目的化の3側面である自己希薄化、自己高揚化、自己利益希求化が友人からの評価にどのように関わっているのかについて検討を加え、その結果は対人社会心理学研究という雑誌に掲載された。また、社会イメージに関する予備調査では社会イメージを測定するための尺度項目を収集し、その結果を踏まえて行った調査から暫定版の社会イメージ尺度を作成することができた。それゆえ、平成24年度は、青年期の愛着スタイルが青年期における自己の捉え方やアイデンティティの確立、また、将来への展望や社会・就業への動機づけに影響することで個人の適応性を規定するというモデルについて検討することを目的とする本調査の実施が可能になった。このことから交付申請書に記載した研究の目的の達成度はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究課題は、平成23年度に行った自己目的化や大学生が抱く社会へのイメージについての調査結果を基に、青年・成人期の愛着スタイルが自己目的化ならびに社会イメージに対して及ぼす影響、さらにそれらが社会と関わることへの動機づけや適応性に対して及ぼす影響について検討を行うことである。それゆえ、平成24年度は、上記の研究課題を遂行するため、大学生300~400名程度を対象に調査を実施し、その後、その調査結果を踏まえ、リサーチ会社等を利用して500名程度の社会人を対象として調査を実施する予定である。 さらに、最終年度である平成25年度は上記の研究結果を踏まえ、現在の特定の相手への愛着機能、アイデンティティや時間的展望といった観点を加味しながら、青年期の愛着スタイルや青年期での特定の相手への愛着の機能が、自己の捉え方やアイデンティティの確立、将来への展望や社会と関わることへの動機づけに対して及ぼす影響について検討を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究課題を遂行するために、質問紙を作成する際の諸費用、調査協力に対する謝金、質問紙を郵送するための郵送料、迅速な研究施行のために研究資料の整理や収集データの整理を行う研究協力者への謝金等が必要となる。また、社会人を対象とした調査を行うに際、リサーチ会社等に依頼するためのその謝金が必要となる。さらに、上記の調査の実施に際して、自己の捉え方やアイデンティティに関する書籍や文献、将来への展望や社会と関わることへの動機づけに関連する書籍や文献などが必要となるため、それらの図書費も必要となる。 平成23年度に行った自己目的化や社会へのイメージの調査に関するデータは、現在詳細に分析を行っており、その結果をまとめて国内外の学会や研究会で発表する予定である。そのため、国内外の諸学会で学会や研究会に参加するための参加費や旅費等が必要となる。加えて、平成23年度に行った調査結果ならびに本年度行う予定の調査の結果について学会誌に投稿する際の諸費用も必要とする。
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