今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、本申請研究の最終年度に当たるため、まず、これまでに得られた研究結果をまとめ、それらを発表あるいは文字化していくことが大きな目的となる。そのため、昨年度収集したデータに関して入念な分析を行い、そこから抽出された研究結果について、国内外の学会や研究会で発表を行うとともに、それらを論文としてまとめ、学会誌に投稿していく。 さらに、平成25年度は、平成24年度に得られた研究結果を踏まえ、養育経験や青年・成人期の愛着スタイル、特定の相手への愛着の機能が、社会へのイメージや探索行動に対して及ぼす影響、ならびにそれらが個人の適応性に与える影響について検討を行う予定である。調査対象者は、大学生300名から400名程度、質問紙の構成としては、①幼少期の養育経験(母親の養育態度の認知)を測定するための尺度、Parental Bonding Instrument(PBI; Rice & Cummins, 1996, 邦訳は長谷川・浦・田中, 1998)、②青年期の愛着スタイルを測定する尺度、一般的他者版ECR (中尾・加藤, 2004)、③青年期における特定の相手への愛着の機能を測定する尺度、愛着機能尺度(山口, 2009)、④社会イメージ尺度(金政, 2012)、⑤探索行動尺度(Green & Campbell, 2000)、⑥主観的幸福感(伊藤・相良・池田・川浦, 2003)を考えている。本調査においては、ネガティブな愛着スタイルや青年期における愛着対象への愛着機能の低さが、社会に対してネガティブなイメージを形成させ、探索行動を抑制することで、個人の主観的幸福感を低下させるという仮説についての検討を行う。
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