平成25年度は、母親の養育態度認知が青年期での特定の相手への愛着の機能に影響を及ぼし、それが探索行動を媒介して、個人の適応性としての主観的幸福感を規定するというモデルについて検討することを目的として、大学生を対象とした調査を行った。また、その結果を踏まえて、現在社会人を対象としてWeb調査を実施した。 まず、一度目の調査は、平成25年の4月から5月にかけて行われた。その結果、母親の養育態度認知のケアは、青年期での特定の相手への愛着機能である安全な避難所ならびに安全基地に影響を及ぼし、さらに安全基地は、探索行動を媒介して個人の主観的幸福感に影響することが示された。また、母親の養育態度認知の過保護は、直接的に主観的幸福感を規定していた。 上記の調査結果を踏まえて、平成26年の2月にリサーチ会社を通して社会人を対象とした調査を行った。調査対象者は、20代、30代、40代の1200人で、上記の結果が社会人においても再現されるのか、あるいは、それらに発達段階による差異が見受けられるのかについて検討を加えることを目的としたものである。この調査については、現在分析を行っているところである。 上記の2つの調査については、今後詳細に分析を加え、それらをまとめて学会などで発表をするとともに査読論文として投稿を行っていく。 加えて、以前に行った調査結果をまとめたものが、「青年・成人期の愛着関係での悲しき予言の自己成就は友人関係でも成立するのか?」というタイトルで審査論文としてパーソナリティ研究に掲載された。
|