研究課題/領域番号 |
23530842
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
神谷 哲司 東北大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60352548)
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キーワード | 国際情報交換(ヨーロッパ) |
研究概要 |
昨年度に引き続き,経済リテラシーに関する先行研究ついてさらに広範に資料を収集し,検討したところ,Huston(2010)やRobb(2012)が指摘するように,経済リテラシーを測定することは,ある意味「知能」を測定することに類似するほど多元的,多面的で複雑・困難なものであることが示唆された。さらに,家計の収入・管理の基礎的事項を明らかにするために行った若者自立支援における消費者教育に関する支援者の意識に関するインタヴュー調査を行ったが,そこでも「金銭教育」,「消費者教育」そのものは特別視されておらず,包括的なキャリア展望の中に位置づけられるものであることが明らかとなった。 夫婦関係に関する事項としては,昨年度に引き続き,立命館大学の宇都宮先生とのワークショップを開催したほか(「結婚生活の継続のなかで配偶者との関係性はいかに育まれるか(6)―死別への適応から―」日本心理学会第76回大会),投稿していた論文が採択された。また,これまでの研究の成果を,日本赤ちゃん学会第12回学術集会シンポジウム,日本家族心理学会第29回大会自主シンポジウムに招聘された際に発表した。 現時点において,経済リテラシーの複雑さ,困難さが明らかになりつつあるため,今後はこれまでの夫婦研究の成果を踏まえつつ,家計に特化した経済リテラシーのあり方,ならびに関連する概念を整理する中で,新たな尺度構成について検討する必要があろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はかなりのエフォートを本研究課題に向けてきたが,昨年度にすでに遅れ気味であったこと,さらに資料を収集すればするほど,「経済リテラシー」という概念が多面的・多元的であることが明らかとなり,それらの情報を整理するために多大な時間を要してしまい,予定していた予備調査が実施できなかったことがやや遅滞していることの理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に収集した膨大な資料により,少なくとも現時点におけるおおよその「経済リテラシー」に関する鳥瞰図は描けるところまで来たため,それをもとにレヴュー論文をまとめるとともに,家計収入・管理に特化した経済リテラシー概念を整理し,昨年度実施できなかった予備調査をもとに尺度を作成する。その際,必ずしも「リテラシー」だけに着目するのではなく,関連する概念についても併せて検討する必要があると考えられる。予備調査の結果については,国内諸学会において発表する。さらに,本調査の設計,実施まで行えれば,おおむね進度の遅れは取り戻せるであろう。 予備調査には調査会社に委託することにより,広く成人を対象とする。また,経済リテラシーについて国内ではほとんど研究が見られないため,海外の国際学会に参加し情報を収集する。 また,必要に応じて,夫婦関係のシンポジウムなどを国内諸学会において開催していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
成果発表旅費に100千円,国際学会の参加による資料収集に500千円,国内学会シンポジウム等の登壇者の招聘に50千円,予備調査の委託費に300千円,本調査の委託費に1,000千円,その他資料収集などの謝金として50千円を予定している。 なお,次年度使用額は,今年度の研究が遅延したことによる予備調査の未実施に伴い発生した未使用額であり,上記平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。具体的には、予備調査の調査会社委託費にあてる。
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