最終年度の本研究の総括として、「群馬大学教職大学院の修了生調査からみられる教職大学院の成果と改善点の検討II-個別インタビュー調査に焦点化して-」を群馬大学教育実践研究にまとめた。その内容は、本学修了生の中で修了時に成績優秀者として選出された者を対象として、現在勤務校でどのような勤務状況であるのかを、本人、および管理者にインタビュー調査を実施したものである。この結果分かった点を要約すると、彼らは大学院入学時の目的意識、すなわちレディネスが高かった点、入学後同学年での他の院生との交流を密にしており、自分一人の学びでだけではなく、周囲からの学び(一種の認知的徒弟制度)を十分に行っていた点などがみられた。 それ以外に、入学後に必要な課題研究論文執筆に当たっての統計リテラシーや仮説の立て方についても、「小中学校教員の抱える問題解決を目的とした統計リテラシー教育の提案―仮説の立て方・考え方に焦点化して―」および「小中学校教員の抱える問題解決を目的とした統計リテラシー教育の提案―仮説検定と結果のまとめ方―」の二本の論文を、群馬大学教育学部紀要人文・社会科学編にまとめた。ここでは、教職大学院で学ぶべき必要知識について、特に課題研究をまとめるために必要なスキルについて集約し、それをカリキュラム上でどのように現在実施しているか、今後のありようも踏まえた上で提案している。 最後に、これらの教職大学院での授業実践をもとに、「教育方法論」(一藝社)で「授業スタイル」についての考察をうち一章を担当してまとめ公刊した。
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