研究課題/領域番号 |
23530846
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
松永 あけみ 群馬大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10222613)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 発達の気になる幼児 / 保育者の言葉がけ / 幼児の他児認知 |
研究概要 |
今年度は、二つの調査を実施した。1.保育者が考えるかかわりが難しい子どもの行動特性を明らかにし、その子に対する保育者の言葉がけの周りの子どもたちに対する影響についての保育者自身の意識を明らかにすることを目的に、保育所および幼稚園の保育者に質問紙調査を実施した。その結果、かかわりが難しい子の行動特性として、他児に攻撃行動を行ったり、思い通りにいかないとパニックになったり、集団活動時にじっとしていられない、スムーズに行動の切り替えができないなどの行動特性があげられた。また、80%以上の保育者が自分の言葉がけが周りの子どもたちのその子に対する認知や行動にかなり影響を与えていると考えているが、ほとんど影響しないと考えている保育者も若干名いた。2.逸脱行動を示す他児に対する幼児のその子への好感度や認知が、保育者の言葉がけの内容によって影響を受ける否か、受けるとしたら具体的にどのように影響されるのかを明らかにするために、幼稚園の年長児61名に、仮想場面と仮想の主人公を想定し、個別の面接調査を実施した。その結果、同じ逸脱行動を示す主人公に対して、保育者の言葉がけがポジティヴな場合よりもネガティヴな場合の方が、主人公に対して、「仲良くなりたい」と思う程度が有意に低いことが明らかとなった。また、保育者の言葉がけに、「意地悪」などのネガティヴな特性語が使用されていると、その特性語の方向で、幼児が主人公の内的特性を認知してしまう傾向があることが明らかとなった。 この研究より、保育者の言葉がけは、幼児の他児への好感度や認知に影響を与える可能性が明らかとなり、逸脱行動をとりがちな幼児に対する保育者の言葉がけの内容の重要性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、質問紙調査と観察調査を予定していたが、観察調査は協力園との相談で個人情報保護の観点からとりやめた。そのかわりに、24年度実施予定の子どもへの面接調査の一部を前倒しで実施し、学会発表および論文にまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、子どもを対象に面接調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
質問紙調査の分析が継続中であるため、研究費が繰り越しされた。平成24年度は、質問紙調査の分析をさらに進め、終結させて、論文を作成する予定であり、そのために必要な経費として、繰越金を含めた研究費を使用する。さらに、子どもへの面接調査のための資料収集、実験材料の作成、分析、まとめに研究費を使用する。
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