研究課題/領域番号 |
23530849
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
上村 惠津子 信州大学, 教育学部, 教授 (30334874)
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研究分担者 |
石隈 利紀 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (50232278)
永松 裕希 信州大学, 教育学部, 教授 (60324216)
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キーワード | 保護者面談 / 連携 / 研修プログラム |
研究概要 |
平成24年度は、保護者面談でおこなう教師の「振り返り」の発話に焦点を当て教師へのインタビューを行なった。これまでの研究より、教師が保護者からの新たな視点を得て、これまでの対応や援助方針の見直しを図る「振り返り」の発話は、子どもの直接的援助者であるからこそ可能になる発話であり、カウンセラー等他の援助職には見られない発話であることが確認された。しかしながら、平成23年度に教師を対象に行なったアンケート調査の結果、46%が「教師の対応について意見を求める」発話をしていないと回答しており、保護者とともに教師自らの対応を検討し、振り返りを行なう機会を持つことに抵抗がある様子がうかがえた。このため、平成24年度は、インタビューにより教師が保護者面談で「振り返り」を行なうことをどのように捉えているか、教師のとらえ方についての情報を幅広く収集することを目的とした。インタビューを行ない、発話を分析した結果、保護者の前で振り返ることに抵抗があるとの意見が聞かれた。また、その背景には、教師のパーソナリティや学校や管理職からのバックアップ体制が影響していると思われるとの指摘も見受けられた。長期研修で現場を離れている教師からは、これまで狭い価値感で頑なになっていたと感じる、そのために日常的に振り返りを行なうことが困難になっていたとの意見も聞くことができた。これらのことから、振り返りには柔軟な思考が求められるが、保護者面談で振り返ることができるという教師の特徴を活かすためには、振り返ることができる支援体制によるバックアップや気持ちの余裕を必要としている教師もいることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度当初予定していた教師へのインタビューについては、逐語録から振り返りに対する教師の意識を分析することができた。保護者面談における「振り返り」の発話の重要性を考えると、対象者をさらに増やしてインタビューを実施し、分析することにより振り返りを促進する研修プログラムのあり方を検討する必要がある。また、年度当初予定していたアンケートによる校種別、職種別特徴については、インタビューとその分析に時間を費やしたため分析することができていない。「振り返り」の発話に焦点を当て分析を進め、インタビュー結果と照らし合せて考察を深める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には、保護者面談における教師の「振り返り」に焦点をあて、対象者をさらに増やしてインタビューを行なうこととする。 平成24年度のインタビュー結果から、振り返りの意味を知り、教師がより柔軟に思考できるようになることのみならず、教師が安心して振り返ることができる支援体制、教師自身の気持ちの余裕も重要になってくるとの示唆が得られている。対象者を増やしてインタビューを行ない、「振り返り」を促進あるいは行いにくくさせている実態を聞き取ることにより、「振り返り」を促進するための研修プログラムの視点、および教師への支援体制の方向性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には、インタビューの対象者が当初予定よりも少なくなたため、研究費の一部が未使用となった。 平成25年度には、対象をさらに増やしてインタビュー調査を行なうことから、インタビューの実施および分析に関わる物品費30万、インタビューの逐語録作成に伴う謝金として20万、研究打ち合わせ及び情報交換のための旅費として20万、その他調査実施のための会場費及び会議費として10万を使用する予定である。 物品費では、外会場でのインタビュー調査のデータ収集に必要な視聴覚機器、データ分析用パソコン等の購入を予定している。旅費では、主に学校心理学会、教育心理学会等への参加を予定している。この他に、インタビュー調査を行なうための旅費として使用する予定である。謝金は、インタビュー調査で録音したインタビューデータからの逐語録作成を業者に依頼する予算として計上した。この他に、調査会場費や会議費等の出費が見込まれるため、これらその他として計上した。
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