研究課題/領域番号 |
23530860
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
山口 豊一 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (10348154)
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研究分担者 |
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80282937)
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (40579140)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 学校コミュニティ / 心理職 / 活用システム / 修正版グラウンデット・セオリー・アプローチ / カテゴリー |
研究概要 |
本研究の目的は、学校コミュニティにおける心理職活用システムを明らかにすることであった。調査は、3つの機関における計7名が対象とされた。調査時期は、2011年7月~8月であった。研究代表者によって、調査対象者(グループ面接)に半構造化面接が実施された。分析方法として、質的研究法の1つである修正版グラウンデット・セオリー・アプローチが用いられた。 その結果、28の概念が抽出され、9つの下位カテゴリーに統合された。そしてそれらは、さらに5つの上位カテゴリー≪学校の運営≫≪行政のマネジメント≫≪心理職の雇用と資質≫≪連携の推進≫≪研究の蓄積≫に統合された。これらの上位カテゴリーは、≪学校の運営≫が、≪行政のマネジメント≫≪心理職の雇用と資質≫<連携の推進≫と相互に影響し合っていることが示唆された。 本研究のインタビュー調査対象者は、教員経験のある人物もいたが、現在は行政に関わっている人物のみを対象としている。行政からみた学校や心理職のあり方のシステムを把握することはできたが、あくまで行政側からの意見であり、一面的なとらえ方になってしまうという限界がある。つまり、本研究で得られたカテゴリーは、分析に用いたデータに関する限りという限定つきのものであり、限定された実践現場からの知見であるという限界があった。 そこで今後の課題として、本研究で得られた知見をベースとして、教育現場である学校の管理職からの意見を取り入れ、新たな知見を得ることが必要である。 それを跡見学園女子大学文学部紀要第47号に掲載をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学校コミュニティにおける心理職活用システムについて、三つの機関、計7名の対象者に、研究代表者が半構造化面接によるインタビュー調査を行った。その調査で得た知見から、「心理職活用システムに関する項目」を検討・抽出した。抽出した項目は、小・中・高等学校などの学校に対する質問項目(67項目)と、市町村の教育委員会や市町村の教育相談機関などの行政に対する質問項目(58項目)に分けられ、質問紙は学校用と行政用の2種を作成した。回答は、4件法とした。 小・中・高等学校および市町村の教育相談機関に「心理職活用システムに関する項目」(学校用・行政用)をそれぞれ配付し、事前調査を行った。まず、「心理職活用システムに関する項目」(学校用)の各項目の識別力を調べるため、統計的処理として、天井効果とフロア効果を算出した。その結果、天井効果とフロア効果が認められた6項目は除外することとした。また、研究調査者が、さらに項目の精査をして、不適切な項目を除外した。 それにより、「心理職活用システムに関する項目」(学校用)は、最終的に50項目となった。
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今後の研究の推進方策 |
「心理職活用システムに関する項目」(行政用)の、各項目の識別力を調べるため、統計的処理として、質問項目を作成する。 次に、「心理職活用システムに関する項目(50項目)」(学校用)を小・中・高等学校、特別支援学校の管理職(校長・教頭等)および学年主任等に配付し、回答を得る。そして、統計的処理をし、「心理職活用システムに関する尺度」(学校用)を作成する。また、「心理職活用システムに関する項目」(行政用)を市町村教育委員会の指導主事および相談員等に配付し、回答を得る。そして、統計的に処理、「心理職活用システムに関する尺度」(行政用)を作成する。 以上のプロセスから、心理職活用システムのコンテンツを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
実践研究において、調査研究協力校および調査研究協力教育委員会に依頼して、協力校および協力教育委員会の援助サービスに関する委員会(企画・運営委員会)に参加する。そして、(1)管理職による心理職の活用について(2)教育委員会の生徒指導・教育相談担当者の心理職活用について援助サービスにおける心理職活用システムの実際と問題点・改善点について観察し、検討する。その際、作成した「心理職活用システムに関する尺度)」(学校用・行政用)を用いて検討する。
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