研究課題/領域番号 |
23530867
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
秦野 悦子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (50114921)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | インクルーシブ保育 / 特別保育ニーズ児 / 関係のアセスメント / 日常活動への参加 / 就学支援 / 語用面での適切性 / 場面適切性 / 自己調整 |
研究概要 |
インクルーシブな保育・教育集団において、子どもに対する具体的な支援として(1)認知特性にあわせた個別支援だけでなく、(2)日常の集団生活における遊びや活動に対する参加への支援を焦点化し、「関係の中の個人」と「日常活動への参加」をキーコンセプトとして、共同注意、共同行為を作り出す保育・教育面での介入と、集団内のネットワーク分析を行うことを目的とした。特に、遊びと生活を通して子どもと保育者を支援するシステムを検討し、3歳児クラスから小学校2年生まで活用しうる支援の試案の作成をめざした。研究計画1「特別保育ニーズ児の認知特性」、研究計画2「5歳児クラスの特別保育ニーズ児への就学支援および小学校への追跡調査」研究計画3「保育集団におけるパーソナルネットワークと保育者の関わり」を計画し平成23年度は研究計画1と2を推進した。研究1.特別保育ニーズ児における活動参加に関する社会的適応アセスメント指標作成では、首都圏保育所の担任から、3歳児クラス・4歳児クラス・5歳児クラスにおける特別ニーズ保育児2,225名のデータを分析した。確定的因子分析により「衝動性」「語用面での適切性」「自己調整」「場面適応性」「社会的関係性」の5因子が抽出された。VinelandIIのカテゴリーと比較すると、「衝動性」「場面適応性」はmaladaptive behavior、「自己調整」社会的関係性」はsocialization、「語用面での適切性」はcommunicationの領域に対応した。CCC-2のカテゴリーと比較すると、「語用面での適切性」がinitiation、nonverbal communication、scripted languageに対応した。研究2.特別保育ニーズ児への就学支援と小学校追跡調査では、事例の追跡により、小学校2年生時点での通常学級でのインクルーシブ教育の継続的データを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3.11の東日本大震災に伴う保育支援活動体制の整備が、研究代表者の日常として入っ てきた。そのために、本研究への取り組みが3か月間休止した。また保育園、小学校 へのフィールド協力のスケジューリングも、これに伴い全体的にすれ込んできている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の修正や変更はない。1.2011年度の成果として得られた「保育活動参加に関する社会的適応アセスメント指標」をインクルーシブ保育・教育集団で実践的に使用し評価を行う。8名の保育巡回相談員の協力を得て200名の実践データを収集する。2.保育フィールドの協力を得て、年長児クラスにおける特別ニーズ児に対し、担任および支援コーディネーターへのインタビューにより、インクルーシブな保育実践のデータを収集し要因分析を行う。3.就学支援以降の小学校でのフォローアップデータを収集市分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H23年度は、保育教育フィールドにおける個別データの収集および観察データの収集については、その準備期間に予定よりも時間を要したため、予備的観察にとどまっている。そのため研究補助としての謝金、観察に要する備品や消耗品などの支出がH24年度計画にともなう支出に組み入れられ、使用計画が変更された。具体的には、物品費(ビデオカメラ、カメラ、関連図書)として400,000円、消耗品(PC関連ソフト、PC関連用品、事務用品)として400,000円、旅費(資料収集、海外学会発表)として400,000円、謝金( 研究補助および観察・課題実施や分析)として800,000円、その他(学会参加費など)として70,000円を予定している。
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