研究課題/領域番号 |
23530868
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
久保 ゆかり 東洋大学, 社会学部, 教授 (10195498)
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キーワード | 情動経験 / 情動表出 / 情動経験の認識 / 情動表出の認識 / 幼児期 / インタビュー調査 |
研究概要 |
前年度には、4歳児に、園生活における自身の情動経験と友だちの情動経験について尋ね、自身の場合と他者の場合とは異なるのかどうか、また、それについてはどのような個人差があるのかについて、検討した。当該年度では、その4歳児達の1年後を追い、5歳となった子ども達に、情動経験および情動表出の機能についての認識を尋ね、その変化と多様性を検討した。 その結果、全体としては、うれしい経験については約9割の子どもたちが自他共にあると応えたが、悲しい経験についてはあるとした子どもたちは6割に満たず、怒った経験についてはあるとしたのは1/3に過ぎなかった。特に、自身が怒った経験があるとした子どもは1/4に過ぎなかった。1年後の年中組(5歳)時点になっても、自他のポジティブな情動に比して、ネガティブな情動の経験は捉えられにくい、あるいは語られにくいことが窺える。また、それらには多様な個人差があり、4歳から5歳にかけて、語られる情動経験の種類は全般的には増えるものの、自他の情動経験についての捉え方・語り方には、依然として広範な多様性のあることが示唆される。 一方、情動表出の機能については、多くの子どもたちが何らかの認識を語ることが多かった。その認識内容には、多様な個人差が見られた。 26年度にはさらに、その子ども達の6歳時点を追い、就学前期3年間の変化を検討することとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.縦断的データの対象者数が確保できたこと:前年度にインタビュー調査を実施した4歳児31名のうち28名が、1年後のインタビュー調査にも参加することが可能だった。約9割の継続率を保つことができた。 2.インタビュー調査において、情動表出の認識を尋ねる質問を実施することができたこと:情動表出の認識を尋ねる質問は、4歳児には、回答することが困難であったが、5歳になった時点では、ほとんどの子どもたちが、質問の意味を理解し、何らかの考えを回答することができた。 3.インタビュー調査を補完する、参与観察についても、当初の計画通りのスケジュールで実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
26年度には、当初の研究計画の通り、6歳時点でのデータ収集に取り組むこととする。 24年度に対象とした4歳児達の1年後を、25年度には追った。26年度にはさらに、その子ども達の1年後の6歳時点を追い、縦断的データを蓄積していく。園生活における参与観察も、26年度には年長組において実施し、フィールドノーツとしてデータを蓄積していく。 それらを総合して、就学前期3年間の変化について、その成長の道筋と、その多様性について、検討することとする。
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