本研究では、幼児期3年間において、情動の経験と表出についての認識がどのように発達していくのかについて、4歳時点からインタビューを実施し、その1年後、2年後を追い、発達的変化を検討した。その結果、喜びの経験については4歳時点で既に認識されているが、悲しみと怒りの経験と表出についての認識は5歳時点以降となり、特に、怒りについての認識は遅れることが見出された。また、怒り表出の機能について語ることの内容とその変化のあり方には、多様性のあることが見出された。そこから、怒りの表出についての認識の成長の仕方には、多様な経路のあることが示唆された。
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