研究課題/領域番号 |
23530869
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
柿沼 美紀 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (00328882)
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研究分担者 |
五十嵐 一枝 白百合女子大学, 文学部, 教授 (00338568)
上村 佳世子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70213395)
紺野 道子 東京都市大学, 人間科学部, 准教授 (30307110)
野瀬 出 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60337623)
財部 盛久 琉球大学, 法文学部, 教授 (50175436)
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キーワード | 教育系心理学 / 高機能自閉症児 / 発話構造 / 日中比較 / 養育態度 |
研究概要 |
日本と中国の定型発達児と高機能自閉症児における母子の語り場面の構造及び発話内容の比較を通して、高機能自閉症児の情報処理の特性を明らかにした。定型発達児との比較からは、文化を越えて高機能自閉症児は人の内面への理解が苦手なだけでなく、社会的葛藤場面における視覚情報収集の効率が悪いことが示唆された。また、文化比較からは、先行研究で指摘されている高機能自閉症児の問題行動の文化による違いが、母親の養育態度や環境によることが伺えた。 母子の語りの発話および行動データは発達臨床心理の専門機関を定期的に受診している高機能自閉症児(3-12歳)とその母親(日本18組、中国24組)(以下、PDDとする)、定型発達児(3~5歳)とその母親(日本50組、中国32組)(以下、TDとする)であった。アイトラッカーを用いた視線情報処理に関するデータはPDD(2-6歳)(日本37名,中国30名)とTD(3~5歳)(日本100名,中国27名)であった。人の顔や、発話研究で用いた線画8枚をそれぞれ3秒間ディスプレイ上に提示し(各線画の前に1秒間の注視点を提示)、その間の視線の動きをアイトラッカー(Tobii X2-30)により計測した。実験時間は32秒間であった。画面を見た時間(サンプンル率)、絵の主要部分の視線固視時間を比較した。その結果、PDD群は人の内面への理解が苦手なだけでなく、社会的葛藤場面における視覚情報収集の効率が悪いことが示唆された。 今後は、本研究で得られた視覚情報処理の特性と養育態度の影響を考慮して、それぞれの文化にあった療育プログラムの開発が望まれる。
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