研究課題
本研究は、質問紙調査における回答者の負担軽減に資する知見を得ること、その直接的な解決法として尺度の短縮版開発を目的とし、5つの研究パートを実施した。研究1. 質問紙における回答者の負担とその影響の検討としては、多数の項目で構成された質問紙を実施し、回答者の負担の測定や欠測率を検討した。対象が大学生であったこともあり、150項目程度の質問紙で負担の増加や欠測率の増加は認められなかった。研究2. 短縮版作成の手法の検討および研究3. 信頼性の基準の検討に関しては並川他(2012)にまとめた。短縮版の作成方法としては因子分析による因子負荷量を基準に項目選択を行っているものがほとんどであった。項目応答理論(Item Response Theory; IRT)を用いたものは数が少なく、さらにスコアの推定までIRTを適用した例は少なかった。研究4. 尺度項目の削減以外の方法、研究6.Computer Adaptive Test(CAT)による回答者の負担の軽減に関しては、CATの適用を目指しシステムの開発を行った。本研究課題での最も大きな成果は、研究5. 使用頻度の高い尺度の短縮版の開発である。性格特性を測定するBig Five尺度の短縮版、「日頃の親子のかかわり」 尺度を学会誌に発表した。また、学会発表において日本語版State-Trait Anxiety Inventory for children(STAI-C)の短縮版を報告している。また未発表ではあるが進路選択に対する自己効力尺度、M-CHAT(Modified Checklist for Autism in Toddlers)日本語版等の開発を行い、発表に向けて準備中である。
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