今年度の研究では、以下の3点を明らかにした。 第1に、これまで実施してきた小学4年生と5年生のコンピュータ利用による算数文章題の学習ツールを、小学6年生の2学期までの学習に適する学習内容を新たに追加し、改良した。学習ツールの問題内容は、新教育課程に則った算数教科書の内容を吟味し、学習ツールの問題として構成した。昨年度と同様に、数名の現職の算数教育の院生の意見を踏まえて、選択された問題を解決ステップに分解し、コンピュータ上に自己説明の可能な課題として構成した。しかしながら、研究に協力していただいた小学校のコンピュータシステムが新しくなり、外部から学習ツールのソフトを組み込むことが不可能となった。その結果、paper and pencil 課題をコンピュータ利用による学習ツールの代替問題として使用し、児童の自己説明のデータを収集した。その結果、自己説明による学習理解が認められた。 第2に、各学期に実施した本テストと、2学期のみに実施した転移テストの結果を分析した。自己説明のできている児童の成績は、本テストも転移テストも優れていた。 第3に、メタ認知方略としての自己説明の評価モデルを吟味した。評価モデルは、次の3点による吟味結果を総合して構成した。1つは、5年生までのコンピュータ利用による児童の解決履歴の結果、第2に、ノートへの自己説明結果、第3に自己説明テストへの説明結果、の3点であった。その結果、第1と第3の結果が自己説明の評価を吟味するうえで適切であることが明確となった。
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