研究課題/領域番号 |
23530883
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
徳永 豊 福岡大学, 人文学部, 教授 (30217492)
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キーワード | 重度・重複障害 / 共同注意 / 発達支援 / コミュニケーション |
研究概要 |
新しい教育施策の展開により「特別支援教育」が重視されるようになってきた。しかし、広汎性発達障害に比べると重度・重複障害のある子どもへの対応は遅れている。本研究は、障害が重度な子どもに対する個別の教育支援を検討するために以下の2点を研究目的とする。 (1)これまでに開発してきた「学習到達度チェックリスト」と、「新版K式発達検査2001」による縦断的な発達評価を実施し、本チェックリストの外部妥当性を検討し、その改訂を行う。 (2)コミュニケーションの発達水準は1歳前後の場合が多く、共同注意の発達変化に焦点を当てた支援者との相互交渉の変化を分析し、個人差に対応した支援行動のモデルを提案する。 平成24年度は、平成23年度に引き続き「学習到達度チェックリスト」の項目を修正しつつ、スコア1からスコア18までの発達段階の意義を再検討し、国語と算数の観点における発達経路を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
○重度・重複障害児の発達評価 重度・重複障害児が教育を受けている特別支援学校の10名の教諭(各教諭2事例ないし3事例)に発達評価を実施した。 ○玩具遊びの相互交渉場面におけるデータ収集の準備 「玩具遊びの相互交渉場面」:DVDの記録を再生し、子どもと教諭の行動について1秒の単位で記述する。行動としては、①注視方向(相手の顔、対象物、その他)、②身体の動き、③その他(発話や表情の変化)とし、注視行動、共同注視や応答的共同注意、始発的共同注意の成立パターンを分析するための準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
「2、3ヶ月」「5、6ヶ月」「8、9ヶ月」「14、15ヶ月」の発達水準と判断された重度・重複障害のある子どもを対象に、相互交渉場面(支援者との玩具遊び)における子どもの行動を分析し、注視行動、共同注視や共同注意の成立、やりとり行動等の有無から発達評価の妥当性を検討する。これらの研究の結果をまとめ、重度・重複障害児のコミュニケーション指導の基礎に位置づく、共同注視や共同注意の形成に向けた「発達段階に対応した支援行動モデル」を開発する。さらにこれらの結果から、「学習到達度チェックリスト」の改訂に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、9月から10月にかけて体調を壊し通院の必要性があって、やや研究の進行が遅れたために、305,540円が次年度使用研究費となっている。この経費については、平成25年度末に実施する研究成果報告セミナーの会場費や協力者の交通費等にあてる計画である。 平成25年度の研究費は130万であり、データ処理等に活用するパーソナルコンピュータの更新、記憶媒体、消耗品等で60万円、データ収集及び研究の打合せ(福岡―東京2泊3日4回、福岡―名古屋1泊2日2回)等で30万円、資料整理アルバイト料等で15万円、学会参会・報告書印刷費等で25万円の計画である。
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