研究課題/領域番号 |
23530884
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研究機関 | 湘北短期大学 |
研究代表者 |
岡本 依子 湘北短期大学, その他部局等, 准教授 (00315730)
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研究分担者 |
菅野 幸恵 青山学院女子短期大学, その他部局等, 准教授 (50317608)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 親子コミュニケーション / 代弁 / 縦断研究 / 国際研究者交流 / 米国 |
研究概要 |
本研究の目的は,本来的に非対称な関係である前言語期の乳児と親とのコミュニケーションが,どのように成り立ち,発達的に変化するかを検討することである。親は,前言語期の乳児に対して,非対称を補うかのように代弁を行うが,本研究では代弁に焦点化してコミュニケーションの成り立ちと変化を追求する。日本および米国の親子から得られたコミュニケーション場面について縦断的データから,縦断的かつ通文化的観点で分析を行う。これまでの科学研究助成金などから,日本におけるデータ収集はすでに完了しており,妊娠期から5歳までのデータが収集されている。米国の親子を対象としたデータについては,マサチューセッツに在住する2組の親子の生後0ヶ月から15ヶ月までのデータを対象とする。これまでに,生後9ヶ月までのデータは収集が終わっていたので,生後12および15ヶ月のデータ収集が平成23年度に残されていた。 平成23年度は,データ収集に関しては,米国データの残りの調査を実施し,分析については,米国データの予備分析,および,国内データの分析を進めた。(1)米国データの予備分析; ケースA(米国)の予備分析から,米国の親も乳児の代弁を行うこと,および,日本データについて用いていた代弁のタイプの分類についても汎用可能であることがわかった。ケーススタディの段階であるが,少なくともケースAについては,日本の平均的な親よりも代弁の頻度が低いことがわかり,そもそも日本語と英語のもつ文法体系の違い(主語の明確さなど)の影響も示唆された。(2)国内データの分析; 分析に先立つトランスクリプションの作成や,4タイプの代弁や非代弁に関するコーディングを進めた。 また,代弁の機能についても分析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は,米国への出張を伴う調査を実施し,それが達成された。米国データの予備分析はトランスクリプションを作成するにあたって,その技術をもった従事者を探すことに時間を要したが,それでもある程度進んだ。一方,国内データの分析はやや停滞したが,それでもある程度は進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた結果を基にして,国内および国外のデータについて,縦断的視点からの分析,および,通文化的な視点からの分析を行う。縦断的な視点での分析については,それぞれの文化内で,「代弁」に反映される親子のコミュニケーションについて,量的な増減と背景にある子どもの発達について検討する。その際,とくに,子どもの対話的自己の発達との関連で,質的な分析を行う。 さらに,得られた米国でのデータと日本のデータを比較検討し,国外での発表の機会を得る。これによって,研究の視点を洗練させ,とくに米国データのとらえ方についての,さらなる分析の可能性を探る。
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次年度の研究費の使用計画 |
データの分析をさらに進めるために,トランスクリプション作成のための謝金または委託費用が必要である。また,本研究の米国データについては,米国クラーク大学のIRB(倫理委員会)を通しているため,クラーク大学での研究報告や研究協力者のValsiner教授との打ち合わせのため,海外出張が必要である。また,国内学会での発表も計画しており,国内出張も行う。
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