研究課題/領域番号 |
23530884
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研究機関 | 湘北短期大学 |
研究代表者 |
岡本 依子 湘北短期大学, その他部局等, 准教授 (00315730)
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研究分担者 |
菅野 幸恵 青山学院女子短期大学, その他部局等, 准教授 (50317608)
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キーワード | 親子コミュニケーション / 代弁 / 縦断研究 / 国際情報交換 / 米国 |
研究概要 |
本研究の目的は,本来的に非対称な関係である前言語期の乳児と親とのコミュニケーションが,どのように成り立ち,発達的に変化するかを検討することである。親は,前言語期の乳児に対して,非対称を補うかのように代弁を行うが,本研究では代弁に焦点化してコミュニケーションの成り立ちと変化を追求する。また,そこから代弁という文化的声の,乳児には内化,親には外化のプロセスを検討する。日本および米国の親子から得られたコミュニケーション場面について縦断的データから,縦断的かつ通文化的観点で分析を行う。これまでの科学研究助成金などから,日本におけるデータ収集はすでに完了しており,妊娠期から5歳までのデータが収集されている。また,本助成で計画していた米国の親子を対象としたデータについて2組の親子の生後0ヶ月から15ヶ月までのデータ収集を平成23年度に完了している。 本24年度は,主に国内データの分析に取り組み,本研究の論文化を進めた。 (1)国内データの分析; 昨年度から引き続き分析に先立つトランスクリプションの作成や,4タイプの代弁や非代弁に関するコーディングを進めた。また,代弁エピソードを質的に分析し代弁の機能について検討した。とくに,親の視点からみたコミュニケーション発達に焦点化し,文化的声の外化について考察し,論文作成に取り組んだ。 (2)米国データの分析準備; 分析の方針を確認するため,米国の研究協力者Valsiner教授への中間報告を行い,今後の分析の方針を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は,国内データについての分析は予定通り進めることができ,論文作成に取りかかっている。一方,米国データについてはやや停滞した。これは,米国研究者との打ち合わせのための出張日程を確保することが非常に難しく遅れたため,および,英語データのトランスクリプション作業が進行しなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に得られた結果を基にして,さらに,国内および国外のデータについて,縦断的視点からの分析,および,通文化的な視点からの分析を進める。本研究は,国内データと米国データのケース数に大きな差があるため,これらのデータを直接比較することはできない。したがって,まず,国内データについての論文を完成させ,このデータを基準として,米国データについて通文化的分析を行う予定である。 また,本課題の最終年度であるので,学会などでも積極的に発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
データの分析をさらに進めるために,トランスクリプション作成のための謝金または委託費用が必要である。また,本研究の米国データについては,米国クラーク大学のIRB(倫理委員会)を通しているため,クラーク大学での研究報告や研究協力者のValsiner教授との打ち合わせのため,海外出張が必要である。なお,Valsiner教授の移籍にともない,デンマークでの打ち合わせとなる可能性もある。 また,国内学会での発表も計画しており,国内出張も行う。
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