研究課題/領域番号 |
23530885
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研究機関 | 大分県立芸術文化短期大学 |
研究代表者 |
藤田 文 大分県立芸術文化短期大学, 情報コミュニケーション学科, 准教授 (50300489)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育系心理学 / 幼児期 / 仲間関係 / 自己主張性 |
研究概要 |
本研究の目的は、幼児の三者関係における交代行動と自己主張性の関連を検討することだった。自己主張性について、自己評価で答えさせるのではなく、話し合い場面を設定し、実際の自己主張言語から測定することを試みた。本年度は、実験の実施までを主な研究計画としていた。4歳児78名、5歳児87名を対象に実験を実施した。まず、同性同年齢の3人組を構成した。子どもたちの前に3種類のゲームを提示し、遊ぶ順番を決定する話し合い場面を5分間設定した。その後、各ゲームを5分間ずつ順番に実施した。その様子をビデオ録画した。実験実施後、話し合い場面の子どもたちの相互交渉を自己主張の程度を中心に分析した。まず、遊び決定までの話し合い時間と発話数を算出し、2年齢(4歳児・5歳児)×2性別(男児・女児)の2要因の分散分析を行った。その結果、5歳児は4歳児よりも、また女児は男児よりも時間が短く話し合いが効率的だった。4歳女児は4歳男児よりも発話数が多く、5歳男児は4歳男児よりも発話数が多かった。次に、発話の種類別に同様の分散分析を行った。その結果、自己主張発話は、4歳女児が5歳女児よりも、5歳男児が4歳男児よりも多かった。他者配慮発話は、5歳児が4歳児よりも多かった。以上のことから、4歳男児では自己主張が少なく、4歳女児で自己主張発話が増加するが他者配慮発話が少なくなり、5歳女児で他者配慮発話が増加するという発達的変化が示された。つまり、話し合いがうまくいくために、まず自己主張性が発達し、その後他者配慮発話を行うようになることが重要であることが示された。以上、話し合い場面での自己主張と他者視点の重要性が示され、子どもの自己主張の程度が測定できることが確認された。来年以降、各幼児の自己主張性を測定し、ゲーム場面での交代行動との関連を明らかにしていく。今年度の結果は日本発達心理学会第23回大会で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、実験の実施までを計画していた。保育園と幼稚園の2園に協力をいただき、幼児を対象とした実験を実施することができた。機材の購入や実験補助で経費を支出し実験実施にこぎつけたという点で、おおむね計画は順調に進展しているといえる。2か所で実験を行ったため、十分な対象人数の実験を行うことができた。 また、実験終了後、実験の前半の話し合いの場面のビデオ分析を実施した。ビデオ分析が時間がかかるため、前半の話し合い部分のみに現在とどまっている。しかし、この部分で子どもの仲間関係の分析、自己主張性の分析が進み、その結果を日本発達心理学会において発表した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の話し合い場面で子どもの自己主張の程度が測定できることが確認された。 したがって、今年度は、さらに引き続いて、話し合い場面での一人一人の子どもの自己主張の程度を得点化する作業をまず行う。 さらに遊び場面のビデオ分析を進めて、逐語録を作成する予定である。また、詳細な行動分析を行い、各子どもの自己主張の程度と交代行動の関連について結果をまとめていく予定である。結果は、日本教育心理学会、日本発達心理学会で発表する予定である。 今後、ビデオ分析の際に、行動コーディング解析ソフトウエアを使用することを検討し、行動分析と相互作用の連続性の可能性を探っていくことも計画していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
行動分析のための、行動コーディングカイセキソフトウエアの購入を予定している。これにより、行動の詳細な分析と行動の連続性の分析が可能になるため、相互作用分析による明確な結果が出せると考えている。 行動分析の結果を日本教育心理学会、日本発達心理学会で発表予定であるので、その旅費を計上する。
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