研究課題/領域番号 |
23530888
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池田 忠義 東北大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (70333763)
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研究分担者 |
吉武 清實 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (80111243)
堀 匡 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助教 (70512565)
佐藤 静香 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助手 (30344641)
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キーワード | 大学におけるハラスメント / 新聞報道の分析 / 累積的事例研究 / 被害者と加害者の関係 / 来談者の要望 |
研究概要 |
これまでに,我が国の大学におけるハラスメント問題の現状や特徴の把握を目的とした新聞報道の分析,ハラスメント相談の過程における来談者の支援ニーズ・相談員の対応等の明確化を目的とした累積的事例研究を行ってきた。 新聞報道の分析では,アカハラの発生件数の増加傾向,教員・学生間での発生率の高さ,セクハラおよびアカハラの具体的内容が明確になった。また,相談事例の分析では,相談内容はアカハラが中心であり,加害者・被害者関係は「教員-大学院生」が多く,アカハラにおいて特にその傾向が強いこと,来談者の要望は,①相手へ働きかけ,②学業に関する環境等の改善,③来談者への働きかけ,④学生生活上の支援,⑤要望不明確,⑥実状を知ってほしい,に分類できることが明らかになった。 本年度は,事例に基づき,来談者の要望と相談員の対応との関係を明確化すると同時に,学内外における教職員研修に基づき,ハラスメント問題における予防活動のあり方を検討した。事例分析の結果,セクハラにおいては,来談者のニーズは,相手および来談者への働きかけが大半を占め,相談員は,ハラスメントシステムによる対応へのつなぎ,来談者の心理支援を中心に行っており,アカハラにおいては,学業に関する環境等の改善に関する来談者の要望が多く,相談員は,様々な現実的対応について検討・助言していた。学内研修参加者を対象とした調査の分析の結果,ハラスメントの具体的内容と対応システム,予防のための留意点,相談を受けた際の対応等について知りたいというニーズが高く,教職員全体・ハラスメント相談員・解決担当者等の対象別の働きかけや支援が必要であることが示唆された。 これらを踏まえ,大学におけるハラスメント問題について,「相談」,「問題解決」,「予防」の三つの段階における臨床心理学的視点からの介入・支援のあり方を検討した。
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