研究課題/領域番号 |
23530889
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青木 佐奈枝 筑波大学, 人間系, 准教授 (80350354)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 現実生活体験 / 遊び体験 / 解離 |
研究概要 |
本研究は、現代青年の精神健康向上を考える一連の研究の中に位置し、近年、社会的にも問題となっている現実生活体験の減少が青年期の人格形成や社会適応に及ぼす影響に焦点を当てたものである。本研究では、現代青年の現実生活体験-実際に体を使い実物に触れる体験、直接的な対人交流を伴う体験などリアルな日常生活体験-に注目し、その特徴を量的および質的に把握するとともに、現実生活体験が「現実感の希薄さ・解離傾向」「共感性」「コミュニケーション能力」にどのような影響を与えているかについて検討する。また、社会適応や精神健康度との関連についても併せて検討することを目的とする。 当該年度においては、本研究での主要な軸となる「現実生活体験尺度」「遊び体験尺度」の2つの尺度の作成を行った。また、これらの尺度を用いて、現代青年の「現実生活体験」及び「遊び体験」についての調査を行った。研究1にあたる部分について、当該年に行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度(平成23年度)の実施計画では、以下3点を行うことを目的としていた。(1・2については当初実施を計画しており、3についてはできれば行うという形で計画を組んでいた)1)「現実生活体験尺度」「遊び体験尺度」の作成2)1)を用いて、現代青年の「現実生活体験」「遊び体験」関する基礎データの収集・実態調査3)1)を用いて「現実生活体験」および「遊び体験」と、心的外傷体験・解離傾向との関連を見ることこのうち、1)2)についてはすでに実施が済んでおり、目的は到達している。3)については、トラウマに関する質問項目を含むため、昨年の震災被害を受けて、倫理的側面(検査協力者側の感情等)を配慮し自粛した。これについては今年度実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度(平成23年度)に作成した尺度をもとに、以下の調査研究を行う予定である。1)「現実生活体験尺度」「遊び体験尺度」の修正・改良2)一般青年群を対象に、現実生活体験・遊び体験の実態調査・質問紙調査3)青年期における現実生活体験・遊び体験と精神的健康に関する要因との関連の把握。特に現実感・解離傾向、トラウマ体験、共感性、対人交流スキル、精神健康、社会適応との関連を把握するための質問紙調査の実施。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、「現実生活体験」および「遊び体験」尺度の原案は作成したが、当初の目的の一つであった「現実生活体験」および「遊び体験」と「心的外傷体験」「解離傾向」との関連を見る調査は行わず、次年度に持ち越しとした。この理由は、調査項目に「心的外傷体験及び解離症状に関する質問項目」を含むためであり、昨年の震災被害を受けて、倫理的側面(検査協力者側の感情等)を配慮し自粛したことによる。このため、調査やそれにかかる諸経費、人件費、必要検査費などを大幅に次年度に繰り越すことになった。また、この部分の発表にかかる旅費も同じく繰り越しとなった。繰り越し分はH24年4月に支払われる予定である。 次年度は、今年度未実施の調査研究(上述)に加え、以下の調査も実施する。1)現実生活体験と精神的健康に関するより詳細な関連を調べる。2)また、近年の非行に解離が大きく影響をしているという視点も踏まえ、非行青年群と一般青年群の現実感の希薄さ・解離症状の比較を行い、それらと現実生活体験の関連についても比較検討する。3)さらに、これまでの研究知見を踏まえ、一般青年および、非行青年の現実生活体験と精神的健康や適応の関連について、また、今後の健康や適応促進のための支援について、得られた結果を取りまとめる。1~3の研究成果の発表を行う。 これに伴い、調査実施費(旅費、謝金を含む)、調査・分析用具購入費、調査データ整理費用(人件費)を使用する予定である。また、今年度の研究成果を発表するための旅費も使用予定である。
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