本研究は、近年、社会的にも問題となっている現実生活体験の減少が青年期のパーソナリティ形成や社会適応に及ぼす影響に焦点を当てた。特に児童期までの現実生活体験―すなわち、実際に体を使い実物に触れる体験、直接的な対人交流体験や遊び体験―を把握する尺度を作成し、青年期を対象にその実態調査を行った。さらに、それら「現実生活体験」「遊び体験」がその後の「現実感の希薄さ・解離傾向」「共感性」「コミュニケーション能力」にどのような影響を与えているかについて青年期を対象に検討した。その結果、現実生活体験・遊び体験が部分的に共感性やコミュニケーション能力、現実感に影響を与えていることが示された。
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