本研究では、思春期の気分障害患者における寛解時の認知機能をDas・Naglieri Cognitive Assessment System (DN-CAS)により評価し、成人の気分障害患者で報告されているような認知機能の低下があるのか明らかにするとともに、寛解時の認知機能から診断や予後の予測が可能かどうか検討することを目的とした。対象は金沢大学附属病院神経科精神科(以下当科)に入院した13~16歳の患者でDSM-IV-TRの気分障害の基準を満たすものとし、頭部外傷や精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、統合失調症の基準を満たすものや、保護者が同意能力を欠くものは除外することとした。研究の実施にあたり、対象が未成年であるため、本人および保護者に研究の目的や概要を文書でわかりやすく説明し、両者から文書で同意を得る必要があった。そこでまず13~16歳の患者にも十分理解できるような説明文書を作成した。さらに個人情報の保護のためデータを連結可能匿名化して管理するのに必要な症例報告書の様式を作成した。それらを研究計画書とともに金沢大学医学倫理審査委員会に提出し承認を得た。平成23年度の当科入院患者の中には、本研究の対象の基準を満たす可能性のある患者が数名いたが、いずれも倫理審査委員会の承認を受ける前に退院したため、研究への参加を依頼することができなかった。本来ならば平成24年度も引き続きデータを収集する予定であったが、研究代表者の異動に伴い補助事業期間の途中で廃止することとなり、データの収集に至らなかった。
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