研究課題/領域番号 |
23530893
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 宗親 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 准教授 (10282310)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ロールシャッハ法 |
研究概要 |
ロールシャッハ法における主観的反応評価を検討する目的で、精神病群ならびに非精神病群の既実施データを各群20例ずつ収集した。方法としては、片口法を使用し、本法に加えて、Exner法によってもスコアリングを行っている。手続きとしては、同意を得た上で、通常の自由反応段階と質疑段階に加えて、限界吟味段階に位置づけられた主観的反応評価を各反応に対して求め、その評価をデータに加えている。 なお、既実施データについては診断名に偏りが生じぬよう配慮し、目的の通り、精神病群と非精神病群を同数となるように主観的反応評価を求める対象を選択してきた。現在、最低予定数に到達しているが、さらに例数を増やすべく対象選択を継続中である。 また、得られたデータに対してExner法による再スコアリングを並行して行っている。スコアリングに際しては、実施者ならびに他の臨床心理士(申請者を含む)によって検討し、不一致が生じた際には協議による検討を経て、スコアリングを確定してる。 現在のところ、H23年度の最終目標である、群間による主観的反応データの統計的検定を行うことは可能であるが、より精度を高めるための手続きとして厳密なスコアリングチェックを行っているというのが実情である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、2つのスコアリングシステムを使用しデータを使用しているため、予想よりも時間を必要とした。また、両スコアリングの一致度を向上させるために、それぞれのスコアリングデータに対して、不一致が生じた場合、複数名による検討を経て最終決定としている。この検討が頻繁になされたことも遅延の一因である。 しかしながら、H24年度中にはその遅延分を取り戻すことが十分可能であり、今年度の遂行に関しては支障は来さない。
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今後の研究の推進方策 |
遅れを取り戻しつつ、主観的反応評価に関する統計的有効性を確認する。その上で、精神病・非精神病を鑑別し得る指標を作成する。作成に際しては、旧来の現実見当力の指標と本研究で扱っている主観的反応評価、ならびにその双方をどのような組み合わせで使用すると良いのか、あるいは、他の指標のと組み合わせの可否等を含めて、より鑑別精度の高い指標を作成することがH24以降の計画である。なお、これらはデータ数が増えるごとに再検討を行うことが計画されている。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた謝金を対象者が辞退した場合には、その分をより精度の高い分析が可能となるよう解析用ソフト購入などに変更する予定である。また、「その他」として計上してある分に関しては、研究協力者の求めに応じて、データ収集の一助となる物品の購入に充てる可能性も検討している。
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