研究課題/領域番号 |
23530894
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
及川 恵 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60412095)
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研究分担者 |
西河 正行 大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (50218137)
伊藤 拓 明治学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20412306)
山蔦 圭輔 産業能率大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80440361)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 抑うつ / 予防 / 学生支援 / 認知行動療法 / 大学生 |
研究概要 |
本研究全体の目的は、大学生のメンタルヘルスの問題について、精神疾患の中でも有病率の高い抑うつに焦点をあて、大学の授業及び学生相談室で実施可能な予防教育プログラムの開発と効果検証を行うことである。 本年度の主要な目的は教材開発のための情報収集及び基礎的研究を行うことであった。大規模授業と学生相談室において実施可能な予防教育プログラムと教材案の開発のため、大きく、1.質問紙調査による基礎的研究、2.国内外の学生相談室での予防的取り組みに関するレビューを行った。1については、(1)気晴らし方略などの認知行動的対処方略の効果に関連する要因の検討、(2)抑うつに対処するための自己効力感が抑うつ症状に及ぼす影響などに関する検討を行い、予防教育プログラムを作成する上で重要な示唆が得られた。2については、国内の学生相談室における予防的機能を持つ取り組みや、英国・米国での集団形式での予防的プログラムについてレビューを行った。その結果、一次予防や二次予防に役立つ多様なプログラム、特に認知行動療法に基づくプログラムに関する知見が得られた。 本年度の後半では、これまでの先行研究等の知見と上記の質問紙調査、レビューによる情報収集の結果を踏まえ、大規模授業で実施可能な予防教育プログラムと学生相談室で実施する予防教育プログラムを構成した。試行的なプログラムは次年度に実施を行い、得られた結果に基づき内容を洗練させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的は大規模授業及び学生相談室で実施可能な抑うつに関する予防教育プログラム案を作成することであり、研究計画では教材開発のための基礎的研究と国内外の学生相談機関における予防的取り組みのレビューを行うことが本年度の主な課題であった。 研究計画に基づき、基礎的研究として縦断的な質問紙調査の実施と国内及び英国・米国の学生相談機関における予防的取り組みのレビューを実施し、予防教育プログラムの作成に役立つ示唆が得られた。基礎的研究やレビューによる知見を踏まえて試行的なプログラム案を作成し、本年度の目的を達成したため、当初の計画通りと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に作成した予防教育プログラムを大規模授業及び学生相談室で実施し、効果を検討することが課題である。 次年度の結果を踏まえて最終年度に効果的な予防教育プログラムを開発するため、まず、大規模授業と学生相談室のそれぞれにおいてプログラムを実施し、効果を検討する。プログラムの効果を実証的に検討するため、プログラム実施前後に予防教育の内容に関わる自己効力感や適応指標などを含む質問紙調査を行う。次年度の後半では質問紙調査の結果を分析し、教育効果を詳細に検討するとともに、プログラムの改善点を明らかにするために参加者から得られた自由記述、プログラム実施者とのグループ討論などに基づき、質的情報も踏まえプログラム内容の改訂を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は大規模授業及び学生相談室で予防教育プログラムを実施するにあたり、主な研究費の使用として、(1)教材作成やデータ整理・入力等に関わるアルバイト謝金、(2)成果発表や資料収集のための国内外の学会参加に関わる旅費、(3)認知行動療法や臨床心理学、学生相談関連の文献購入費、(4)データ管理に関わるUSBメモリやハードディスク、スキャナ等の物品購入費、(5)教材や質問紙作成、資料整理のためのインクや用紙、ファイル等の消耗品購入費を予定している。
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