セラピストの発する言葉が,心理療法の展開にどのような影響を与えるかを,発話内容とともに言い回し(発話の形式)の特徴に着目して検討した。発話の文法的特徴と対応して,クライエントの心的空間の設定,注意対象の生成,セラピストとの距離感などに影響を及ぼしており,その意識化により心理療法での介入がより適切なものとなりうることが示唆された。 また,日本での来談者中心療法の変容過程に関する分析,さらには能にみられる表現や関係性の特徴を分析し,日本語の特徴や日本文化のコンテクストが,心理療法における言語表現の特徴や意味生成にどのような影響を与えているかを検討し,日本における心理療法の機序解明への示唆を得た。
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