研究課題/領域番号 |
23530896
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
内田 利広 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20263999)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 夫婦関係 / 愛着 |
研究概要 |
本研究においては、妊婦検診等において,出産・育児に不安を抱えている母親あるいは夫婦に対し,早期の心理的介入を行うことで,少しでも人生早期における愛着の障害を防ごうというものである。若い夫婦にとって,子どもの出産というのは大きなイベントであり,出産そのものに対する不安があると思われるが,それだけではなく、出産にともなる夫婦の役割の変化,双方の実家の親との関係、またこれまでの生活スタイルの変化など多くの不安を抱えていることが考えられる。そのような,若い夫婦の持つ不安の構造について明らかにするために、具体の研究を進めていった。まず今年度においては、保健所において行われている妊婦検診等に参加し、出産を控えた母親たちがどのような心理状態であるかを明らかにするために、スクリーニング用の質問紙を作成していくための探索的な研究を行った。 質問紙の作成にあたり、まずは先行研究のレビューを行い、これまで行われてきた妊婦への支援やその心理的な課題についての文献研究を行った。その文献検討を通して、妊婦の心理状態を把握するために以下の3つの既存の尺度を用いることにした。1) 妊娠期の母親の意識に関する調査、2) 母親自身の心理的安定性(愛着関係)に関する調査、3) 妊娠中の妻への夫の関わりに関する調査、4)その他、妊婦にとって特に夫の関わりにおいて、うれしかったこと、嫌だったことを自由記述により回答 調査対象者として、保健所の妊婦検診等に訪れた母親200名程度に、アンケート用紙を配布する準備を進め、京都府近隣の保健所より、調査協力の了解をいただいたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において予定していた妊婦に対する探索的なアンケート調査に向けて、まずは文献研究、さらにはアンケート用紙の作成と順調に進んでいる。アンケートの項目においては、これまでの先行研究を踏まえ、特に父親の役割が明確になるような新たな項目谷、自由記述の欄を設け、今後の研究につなげていくように進めている。 ただ、調査の実施にあたり、予定していた保健所においてそれほど多くの妊婦の健診がないということで、急きょ別の保健所にお願いすることになった。そのため、多少の調整に時間がかかり、当初の予定よりは少し時間が経過したが、研究内容としては、ほぼ予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、調査をお願いした保健所と最終の調整をするところまで進んできたので、今後は、その保健所での調査の実施、さらにはアンケート用紙の回収をすることになる。 また、データの数を増やすためにも、保健所だけではなく産婦人科等にも調査の協力を依頼し、さらに多様な妊娠周期の妊婦より、アンケートを回収する予定である。 これらのアンケート調査用紙を回収後は、データの分析が中心になる。データの入力、解析を通して、質問項目の妥当性を確認するとともに、妊婦の抱える不安や支援のニーズ、特に夫との関係における支援の必要性を明らかにしていく。 それとともに、協力の得られる妊婦からは、直接の面接調査を行い、より具体的な支援のニーズを明らかにするとともに、実際の夫の関わりやその具体の内容を明らかにしていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、アンケート調査をさらに進めるために、調査用紙の印刷経費、返信用の郵送代等が必要になる。その後、多数のアンケート用紙が却ってくる予定であり、そのデータの入力、分析のためのアルバイトが必要になる。データ分析には、かなりの時間を要する見込みであり、複数によるデータの入力や整理、また分析に向けた準備が必要であると考えている。 さらに、個別の面接調査を行うに当たっては、保健所や産婦人科、あるいは各家庭に赴いてインタビューを実施する予定であり、その際には面接の録画・録音の必要があり、その機材の準備や妊婦への配慮を考えて、複数での面接実施が望ましいと考えられるので、面接調査の補助をお願いする予定である。また、面接協力者に対する謝礼等も必要になる。 このような調査研究を進める上で、さらに論文の収集や文献の講読、さらには日本における子育て支援の現状を理解するためにも学会や研修会等にも参加する予定である。
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