研究課題/領域番号 |
23530899
|
研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
市井 雅哉 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (10267445)
|
研究分担者 |
吉川 久史 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, その他部局等, 研究員 (30610852)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | EMDR / NIRS / 眼球運動 / 脳活動 / 安全な場所 / 性被害 / 外傷記憶 / 心拍数 |
研究概要 |
市井は、EMDR中の脳活動を調べる目的で、非臨床の20代の女性の外傷記憶の処理をする際に52チャンネルのNIRS(近赤外線スペクトロスコピィ)と心拍数が測定した。ターゲットの記憶は10歳時に受けた性的被害で、加害者の性器を触らされたことだった。IES-Rは11点と低かった。経験を積んだEMDR治療者が標準的EMDRプロトコルを実施した。否定的認知は、「私は恥ずべき人間」肯定的認知は「私は生きる価値がある」だった。身体感覚は両腕、両手だった。37セットの眼球運動で、SUDは7.5が0に低下し、VOCは3.5が7に上昇した。心拍数は息苦しさの報告とともに、一旦上昇したが、その後減少に転じ、中盤の責任の認知の編みこみ以降ほぼ、低下した状態で推移した。右の眼窩皮質[oxy-Hb]の変化は、ほぼ一貫して増加し、中盤の認知の編みこみなどにより急な上昇を示した。左の側頭回の[oxy-Hb]は、眼球運動の開始とともに高まったが、中盤の責任の認知の編みこみ以降、急激に減少した。NIRSをモニターすることで、EMDR中のさまざまな技法、重要な過程が脳に影響を与えていることが推測できる。こうした関係を確認するためには、より多くのデータの収集が今後必要と考えられる。吉川は、安全で穏やかなイメージを題材として、眼球運動がイメージの鮮明さや喚起される感情の強さに与える影響を検討した。実験のために、ノングレア素材のPCモニタを用意した。ノングレア素材は、実験中に被験者の顔がモニタに映り込まないという利点がある。実験プロトコルは、書籍、論文などを参考に作成した。実験の被験者は大学生24名を目標とし、初年度は大学生3名に対して実験を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市井は、NIRSデータは1例収集、解析し、結果を考察することができた。実験やデータ解析のおよその流れがつかめた。吉川は、初年度は大学生3名に対して実験を行って、現在も継続中で、24名を最終的に解析対象と考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
市井は、NIRS測定機器に関して、恒常的な測定場所となる研究機関との協力体制の構築を行なっている。チャンネル数、プログラムなどについて近々業者と相談し、この夏以降本格的なデータ収集を行う予定にしている。吉川は、現在も実験データは収集を継続しており、順調に進んでいる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
市井分:学会参加費用50万円、消耗品費10万円、謝金20万円吉川分:学会参加費用(参加費、交通費、宿泊費)10万円、実験に係る諸費用(謝金、印刷代、実験者の交通費など)10万円、書籍および機器購入費用10万円。
|