研究課題/領域番号 |
23530899
|
研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
市井 雅哉 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (10267445)
|
研究分担者 |
吉川 久史 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, その他部局等, 研究員 (30610852)
|
キーワード | EMDR / NIRS / 自律神経系 / 外傷記憶 / 安全な場所 / 眼球運動 |
研究概要 |
市井担当部分:EMDRがもたらす治療効果に関連する脳機能部位、および自律神経系の変動パターンの特定を目的に、EMDR標準プロトコル実施中に、脳の活性部位を脳血流内の酸素濃度によって測定可能な24チャンネル光トポグラフィ装置(ETG-4000 日立メディコ製:以下NIRS)で、自律神経系指標を皮膚伝導性・皮膚温度・指尖容積脈波・呼吸振幅によって測定するバイタルモニターProComp(T7500M エムピージャパン製:以下ProComp)で、それぞれ測定した。今年度は5名の被験者に実験を行い、5名共にSUD(主観的障害単位)において、減少を認め、改善、及び維持を確認した。ターゲットとしては、死別、適応上の問題、性的被害体験などが扱われた。 吉川担当部分:安全な場所のイメージに対する眼球運動の効果を検討する目的で、①イメージの鮮明さと安全な感覚は低下する、②イメージは広がらない、と仮説を設定した。大学生22名を対象とし、安全な場所のイメージを浮かべた後に、その映像の鮮明さと感情の強さを評定させ(pre 測定)、水平眼球運動条件と眼球固定条件のいずれかを経験させた。水平眼球運動条件では、左右交互の眼球運動を、1 セットあたり24 秒間行わせた後、回想の量と質、鮮明さと感情の強さを評定させた(post 1 測定)。その後、眼球運動を3セット行い、同様の指標を測定した(post 2 測定)。眼球固定条件では、刺激として黒い画面の中央に白い点を提示し注視させた。その結果、水平眼球運動条件は、刺激を加えることで安全や穏やかさの強さが低下したが、眼球固定条件は変化は見られず、回想の量が増加した。また、水平眼球運動条件では否定的なイメージへの変化が生じた被験者が見られ、2つの仮説はほぼ支持された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市井担当部分に関しては、実験の実施場所がようやく確保でき、実験遂行中であり、今年度中に必要な数を分析できると考える。 吉川担当部分に関しては、予定を順調にこなせている。
|
今後の研究の推進方策 |
市井は、実験を継続すると共に、すでにあるデータも、随時分析を開始し、生理的データについて整理し、論文化して行く。 吉川は、一旦結果をまとめることはでき、論文化作業に入っている。一方、臨床適用を視野に入れて、新たな実験を行う方向も検討中である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
予定していたデータ収集が悪天候のため年度内に実施できなかった。25年度に実施予定である。
|