研究課題
本研究の目的はマインドフルネスと幸福感・心配の関連を検討することであった。平成25年度には,幸福感・心配・マインドフルネスの関係について,実験・調査の双方を行った。(1)批判的思考を用いる傾向が高いと,考え続ける傾向が強まることで心配が増強すると同時に,いやな考えから距離をおくスキルが向上することで心配が低下するという二面的な影響を見いだした。(2)抑うつを低減する変数は,能動性を反映するグループと,マインドフルネス的な柔軟性を反映するグループに分かれることを見いだした。(3)距離をおくスキルが,否定的なメタ認知の低減を通じて心配を低減することがわかった。(4)注意の制御が,マインドフルネス傾向の向上を通じて,心配を低減させることが分かった。(5)選択性と持続性という注意機能の二つの側面の交互作用で,マインドフルネス傾向が高まることが分かった。(6)将来に得られる大きな報酬を優先する認知傾向や認知的な柔軟性を反映する生理指標が心配の素因が心配を増強することを緩和することが分かった。(7)心配と社交不安とで,自分の感情への接し方が異なることが分かった。(8)自己への慈しみと居場所感の関連を調査し介入効果も確認した。いくつかの成果が審査付き論文(英文・和文)として公表された。研究期間を通じて,マインドフルネス傾向は,心配を低減し,幸福感を高める効果をもつことが分かった。また,幸福感は心配が悪化するのを防止する効果をもつことも分かった。マインドフルネス傾向や幸福感の効果は,調整効果という形をとる場合が多く見られた。これらの知見に加えて,幸福を味わう傾向尺度の日本語版が開発され,マインドフルネス傾向の測定尺度の妥当性に関する研究が公刊されるなど,今後の研究にも貢献が期待できる。これらの結果は,審査付きの国内外の学術雑誌に掲載されたり,多数の国際学会での発表に結実した。
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