本研究課題の二つの目的は、①セクシュアル・マイノリティの方々の地域援助の拠点を設け、情報・心理援助を提供すること、②学校現場の教師、カウンセラー等を対象としたセクシュアル・マイノリティ理解を促進するプログラムの開発・実践であった。 第一の目的に関しては、平成23年度に発足したLGBT地域援助の拠点である「SAG徳島」の運営は、運営委員が約25名に増え、活発な交流会の開催、ワークショップ、イベントの開催を行うことができた。交流会は地域援助の拠点とSAG徳島がなるように広報活動を活発に行い、大学内外での交流会を開催した。また、「徳島カラーフリー文化祭」と題して、セクシュアル・マイノリティに関する作品(絵画、写真、オブジェ、織物等)の展示、歌、手話、演劇、演奏等を交えた文化祭を開催した。また大学内においては、学園祭にもSAG徳島としてセクシュアル・マイノリティに関する情報提供を目的とした出店も行った。 また、研究に関しては、「セクシュアル・マイノリティへの心理的支援」(岩崎学術出版)を執筆(共著)し、WPATHが発行している「トランスセクシュアル、トランスジェンダー、ジェンダーに非同調な人々のためのケア基準」を協同研究者らとともに翻訳した。その他、研究論文、学会発表を行った。 第二の目的に関しては、性同一性障がいを中心とした「トランスジェンダー・性同一性障がいセンシティブ・プログラム」を開発し、徳島県、高知県等の人権教育の場で学校の教員、心理援助を行う団体、人権に興味のある一般の方々を対象に実践を行った。それぞれにおいて、参加者から「これまで考えたことがない視点であった」「これまで対応した児童生徒の中にもいたように思う」「適切な対応方法を知ることができてよかった」等の評価を得た。
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