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2012 年度 実施状況報告書

失体感症質問紙の標準化

研究課題

研究課題/領域番号 23530903
研究機関九州ルーテル学院大学

研究代表者

有村 達之  九州ルーテル学院大学, 人文学部, 准教授 (80264000)

研究分担者 岡 孝和  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60291514)
松下 智子  九州大学, 健康科学センター, 准教授 (40618071)
キーワード医療・福祉 / 臨床 / ストレス / 心身症
研究概要

本研究課題は失体感症を評価する質問紙を開発し、心身症症状との相関を調査するものである。失体感症とは、疲労感、緊張感や身体疾患の症状など身体感覚への気付きが乏しいという心身症患者の特徴を指す概念である。われわれは失体感症を評価する質問紙を開発し、十分な妥当性と信頼性を確認した後に、様々な心身症症状との関連性を調査することを計画した。
平成24年度では、失体感症尺度の妥当性を支持するデータの収集および失体感症と抑うつや不安などの疾患症状との相関データを収集した。具体的には以下の通りである。
1.大学生、心身症患者を対象に失体感症と理論的に相関が予測される質問紙と失体感症尺度との相関を検討した。2.心身症患者を対象に失体感症尺度と医師による失体感症評定との相関を検討した。3.ヨーガの熟練者と大学生の間で、失体感症尺度得点に有意差があるかどうかの検討。4.大学生、心身症患者を対象に失体感症と抑うつ、不安などとの相関を検討する。
結果は以下の通りであった。
1.大学生と心身症患者において、失体感症尺度の下位尺度である体感に基づいた健康管理欠如尺度が、身体感覚に対する気づきの尺度であるBody awareness questionnaireと負に相関していた。2.心身症患者において医師による失体感症評定と失体感症尺度合計点が正の相関を示した。3.失体感症尺度の体感に基づいた健康管理欠如下位尺度と合計点において、ヨーガ熟練者は大学生より有意に失体感症傾向が少なかった。4.大学生において、失体感症は、抑うつおよび不安と相関していた。心身症患者では、調査した施設によって失体感症と抑うつ不安との相関は一貫しない結果であったが、これはサンプルサイズが小さいことに起因する可能性がある。1から3の結果は失体感症尺度の妥当性を支持するものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

失体感症尺度の妥当性を示す研究が当初の予定より遅れているため、進行度を「やや遅れている」と評価した。昨年に引き続き、失体感症尺度の妥当性を示すため、Body awareness questionnairとの相関を本年度は検討した。しかし、一部を除いて予想された相関が得られなかったため、同様の心理尺度との相関の検討を繰り返すことを行っており、妥当性検証の作業が完了しなかった。また、調査対象にできた被験者群が小さなサンプルサイズであったため相関係数の有意性を統計学的に示せなかったケースがあったのも問題であった。

今後の研究の推進方策

失体感症尺度の妥当性を示す研究を継続する。具体的には以下の通り。
1.大きなサンプルの大学生を対象に、Body awareness questionnairなど理論的に相関の予想される心理テストと失体感症尺度との相関を検討する。2.心身症患者を対象に失体感症尺度と医師による失体感症評定についてのデータを継続収集する。3.ヨーガ熟練者と初心者との間で失体感症尺度得点に有意差があることを示すデータを収集する。

次年度の研究費の使用計画

失体感症に関する情報収集について関連学会への出席、研究に必要な書籍の購入、論文発表の際の英文校閲などに支出予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 失体感症尺度(体感への気づきチェックリスト)の開発―大学生を対象にした基礎研究―2012

    • 著者名/発表者名
      有村 達之、岡 孝和、松下 智子
    • 雑誌名

      心身医学

      巻: 52 ページ: 745-754

    • 査読あり
  • [学会発表] 体感への気づきチェックリスト(失体感 症の評価尺度)の開発.

    • 著者名/発表者名
      岡 孝和,須藤 信行,松下 智子,有村 達之
    • 学会等名
      第17回日本心療内科学会総会・学術総会
    • 発表場所
      福岡市

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公開日: 2014-07-24  

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