研究課題/領域番号 |
23530905
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
谷口 弘一 長崎大学, 教育学部, 准教授 (20411051)
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キーワード | 対人ストレスコーピング |
研究概要 |
中学生ならびに高校生を対象にして,解決先送りコーピングの獲得訓練を行い,その使用頻度を増加させることで,ストレス反応の低減をはかる対人ストレスコーピング訓練を行った。訓練群は,対人ストレスコーピングの内容や効果について説明を受けたあと,14日間,毎日,コーピング日誌を記入した。そうして,日々,自分が使用したコーピングを振り返り,解決先送りコーピングの使用頻度を高めるように努めた。中学生では,訓練終了2週間後の時点で,解決先送りコーピングの使用頻度は,訓練群と統制群で有意な差が見られなかった。ストレス反応は,訓練期間中,訓練群と統制群に有意な差は認められず,時間経過による変化も見られなかった。高校生では,訓練終了直後の時点で,解決先送りコーピングの使用頻度は,訓練群と統制群で有意な差が見られなかった。ストレス反応は,訓練群と統制群のいずれにおいても,訓練前よりも訓練終了3週間後に有意に低下していた。また,訓練終了直後において,解決先送りコーピングの使用頻度が減少または無変化であったものは,ストレス反応得点に変化はなかったが,使用頻度が増加したものは,ストレス反応得点が低下していた。こうした結果は,コーピング日誌を用いた訓練により,解決先送りコーピングの使用頻度が実際に多くなれば,それに伴ってストレス反応が低減することを示しており,解決先送りコーピング獲得訓練がストレス反応の低減に有効であることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の予定どおり,実践的介入を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で得られた成果を論文にまとめて,外国誌も含めた関連研究雑誌に投稿する。また,介入研究の対象となった学校には,学校ごとに報告書を作成・配布するとともに,関係者を対象とした報告会を実施する。さらには,一般向けに,ホームページを作成して,研究成果の公開を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
指導学生の実習先で実践介入を行うことができたため、当初予定よりも謝金使用が少なくなった。 次年度に繰り越した研究費は、論文校閲・掲載料などに充当する予定である。
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