研究課題/領域番号 |
23530906
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高原 朗子 熊本大学, 教育学部, 教授 (20264989)
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キーワード | 臨床心理学 / 高機能広汎性発達障害 / 対人関係 / 心理劇 |
研究概要 |
1.研究の目的:本研究の目的は、高機能広汎性発達障害児・者の対人関係能力向上に集団心理療法の一技法である心理劇を利用した支援を行い、臨床心理学的に実践・検証し適切な支援法を確立していくことである。そこでは「対人関係の多重構造モデル」(髙原 2011)という視点を持って対象者に心理劇を施行し、発達段階や症状の違いによるその効果や技法を分析していく。それをもとに彼らの対人関係能力の向上を目指すための支援マニュアルを開発し、様々な臨床場面で利用できる臨床心理学的システムの構築を目的とする。 2.今年度の研究成果:主に以下4点の内容を遂行した。 1)評価表の試案作成に向けて:「対人関係の多重構造モデル」評価表(試案)の作成に向けて過去行ってきて分析可能な心理劇施行の記録を見直し、分析中である。2)成果発表・情報収集:日本心理劇学会第18回大会シンポジウムにて研究成果の一部を発表した。また、研究の成果の一部を髙原(2012・2013〈印刷中〉)で発表した。3)成人の高機能広汎性発達障害者への心理劇施行を行うと共に、児童期の対象児に対して心理劇的技法を含めたグループ活動を継続的に行い、データを収集した。4)研究補助者(支援者・学生等)の教育:簡易化された支援マニュアル(髙原 2012,昨年度の成果)を利用して支援者や学生たちを指導し、補助自画として心理劇に参加させた。 3.研究の意義と重要性:今年度の主な成果は昨年度作成した簡易化された支援マニュアルを利用して心理劇による支援を行って、データを蓄積したことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究はやや遅れている。 今年度は種々の時間的制約のため(熊本大学教育学部附属特別支援学校長として本務に加えて学校運営に関わったため)過去のデータ分析や、昨年度の成果を元にした心理劇は施行することができたが、「対人関係の多重構造モデル」に基づく評価表の作成には至らなかった。また上記理由により研究成果を学会等で発表することがほとんどできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今までの心理劇の実践データを分析し,評価表や支援マニュアルを来年度は完成させたい。そのための資料収集や,作成のためのパソコン機材及びパソコンソフト等が必要である。また、研究の成果発表のための出張費などが必要となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)心理劇プログラム実施及び評価表作成:高機能広汎性発達障害児・者への心理劇における「対人関係の多重構造モデル」に基づいた評価表を作成し、検討する。 2)情報収集(学会参加および専門家による講演・学習会開催):日本心理臨床学会・日本特殊教育学会・日本心理劇学会・日本自閉症スペクトラム学会・西日本心理劇学会等にて、上記評価表を発表し,研究の客観性・妥当性を高めていく。 3)研究成果の論文による発表 4)最終的な成果の総合考察と報告書による発表
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