心理劇とはモレノによって開発された集団心理療法であり、即興の形式を用いて人間および人間を取り巻く状況を探求する科学である。本研究では高機能広汎性発達障害児・者に心理劇による支援を行い、その効果を検証した。その際、「対人関係の多重構造モデル」(髙原2011)の視点(心理劇の場で起こる「現実の人間関係」と「心理的現実の人間関係」の同時的体験)に焦点をあて、対象者への心理劇の効果を分析した。 積み重ねられた事例データの整理の結果、「現実の人間関係」が安定しているほど、心理劇の場で、より適切に気持ちの表現がみられるなどの傾向が認められた。
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