研究課題/領域番号 |
23530907
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
田中 新正 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (00163527)
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研究分担者 |
古賀 精治 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (20225395)
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キーワード | ダウン症候群 / 立位・歩行動作の改善 / 動作法 |
研究概要 |
2012年8月25日~28日に3泊4日のキャンプ形式による集中指導を、1歳~26歳までのダウン症児・者23名に実施した。 *指導方法について: 乳幼児から成人までのダウン症児・者に、それぞれの年代に応じた立位や歩行課題 の改善や安定のための指導方法に関する検討を行った。①安定した歩行が獲得されていない乳幼児に対しては、膝立ち姿勢における前後・左右の重心移動と左右の踏み締め課題の指導法について検討を行った。②平地歩行は安定しているが、階段降りが片脚段階にある幼児・児童に対しては、膝立ち姿勢と片膝立ち姿勢による指導法について検討を行った。③階段昇降はできるが両脚ジャンプができないダウン症児・者に対しては、爪先立ち姿勢による、膝と腰の屈曲と前傾姿勢の指導について検討を行った。 集中指導効果の持続に関しては、キャンプ後の月に1度の月例会で確認を行った。家庭で継続した指導が行われたダウン症児・者は、キャンプでの集中指導の効果が持続されていた。キャンプに参加しなかったダウン症児・者では、姿勢のひずみや歩行の不安定さが見られていた。 *効果の測定について: キャンプ参加者のうち言語指示が理解出来る、数人に対して「足圧分布測定システム(F-スキャンII)」による歩行の測定を実施した。乳幼児は足の大きさが小さいため、本システムでは測定が不可能であった。また、言語指示の理解が困難なダウン症児・者も測定が不能であった。立位姿勢・片脚立ち姿勢(出し足)・歩行での測定では、これまでの結果を支持するものと、再度確認を要する問題が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3泊4日のキャンプ形式による集中指導を、1歳~26歳までのダウン症児・者23名に実施することができたことにより、発達年齢における歩行に関する指導方法の開発については、おおむね計画通りに達成することが出来た。 「足圧分布測定システム(F-スキャンII)」による測定に関しては測定機器の制限により、乳幼児や言語理解の困難な対象児・者の測定が不可能であったり不能であることから、当初計画していた低年齢からの歩行に関する発達状況に関しては、一部変更するが必要となった。また重度の知的障害のあるダウン症者に関して測定には、新たな工夫が必要であることが分かった。このため足圧分布の測定に関しては、当初計画よりやや遅れている状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
1.24年度に開発した指導法に基づき、25年度も夏休みに実施予定の3泊4日の集中指導キャンプと月例会において指導を行う。その指導前後の立位や歩行における足底圧をFースキャンIIにより測定を行う。その測定結果を分析し、指導方法に検討を加え、ダウン症候群独自の発達段階に応じた指導方法と指導内容を構築する。 2.検討を加えた指導方法と指導内容についてホームページでの紹介を中心に公開する。それと保護者や学校教員にも利用しやすいマニュアルを作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
FースキャンIIによる測定や分析に必要な消耗品や物品の購入。FースキャンIIによる測定や分析に関わる謝金。ホームページ作成に関わる消耗品や謝金。研究成果の学会発表に必要な物品や旅費。マニュアル作成のための消耗品と謝金に使用する予定である。
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