研究課題/領域番号 |
23530910
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
小川 成 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90571688)
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研究分担者 |
中野 有美 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (60423860)
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キーワード | パニック障害 / 認知行動療法 / QOL / 効果予測因子 |
研究概要 |
パニック障害は年間有病率約2%の多頻度疾患であり深刻な機能障害やQOLの低下を伴う場合もあり適切な治療が必要である。しかし、重要なアウトカムであるQOLの認知行動療法施行前後での変化に関する研究はほとんどない。我々は本研究においてパニック障害に対する認知行動療法施行後のQOLの変化を予測する因子について検討していくこととした。研究デザインはコホート研究(追跡研究)である。DSM-IVのパニック障害と診断され、認知行動療法を受けるすべての患者が対象である。今年度は以下のような介入および評価を施行した。 1. 介入 3人ずつのグループによる認知行動療法を1回約2時間×10回施行。オーストラリアのNew South Wales大学の不安抑うつ研究所の治療プログラムを参考にしたマニュアルを使用している。プログラムは以下の5項目からなる。(1)パニック障害に対する心理教育(2)呼吸コントロール(3)不安を惹起する認知を是正するための認知再構成(4)段階的実体験曝露(5)身体感覚曝露。 2. 評価 診断を確定し併存疾患を確認するために、Structured Clinical Interview for DSM-IVという半構造化面接を施行して認知行動療法への適応を評価した。また、治療前後でパニック障害の重症度を評価するため(1) Panic Disorder Severity Scale(PDSS)を施行した。また人格特性を評価するためベースラインで(2) NEO Five-Factor Index(NEO-FFI)を施行した。(3)QOLを評価するため、治療前後および3か月後、12か月後に12-item Short-Form Health Survey (SF-12)を施行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は2001年以降パニック障害専門外来にて認知行動療法を提供しており、そのノウハウを確立しているとともにスタッフの育成も継続してきている。基本的に新たな問題は生じていないものと考える。 介入については、パニック障害の認知行動療法の経験が2年程度のセラピストを中心に施行した。定期的なケースカンファレンスにてスーパービジョンおよび問題点等の修正を図っており問題なく施行できているものと考える。評価についても自記式評価尺度については全例回収できているうえ、他者評価尺度については評価方法のチェック等を定期的に施行しており、これも問題なく施行できていると思われる。また、データの保管等についても当初計画通りにできており、大きな問題はないと思われる。 1年間では20名程度の患者様に認知行動療法を施行した。当院および関連病院や関連クリニックに引き続き協力を仰ぎ、エントリー数の確保に努めてきた。また必要なグループ数は確保できるだけのセラピストは昨年すでに確保できている。セラピストの養成および研修目的では月2回の名市大認知行動療法研究会にて症例検討会やワークショップを開催してきた。さらにセラピストのレベルアップのため学会出席も積極的に進めており、平成24年度は認知療法学会、アメリカ行動認知療法学会等とそれらのワークショップに参加した。また後述のようにポスターおよび口演にて発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
全体として昨年度と同様に推進していくが、最終年度として論文執筆に関する作業が加わることとなる。 データ収集に関して、近年パニック障害患者における認知行動療法希望者数は全体としては増加しているものの、当科における希望者数は減少傾向である状態は続いている。このため昨年度に引き続き関連病院や関連クリニックへの協力要請を行う。昨年度依頼していない医療機関へも協力を要請していく予定である。また、病院ホームページや同門会報等を利用した広報活動にも引き続き積極的に取り組んでいく。 また、認知行動療法を施行可能なセラピストは確保できたと考えられるが、セラピストの養成および研修のためにワークショップ等も定期的に行う予定である。また、定期的なケースカンファレンスにて治療者に対するスーパービジョンおよび問題点等の修正も図っていく。その一環として昨年度から名市大認知行動療法研究会は月2回から月3回のスケジュールに変更しているが、これも継続していく。その他学会参加や学会発表もこれまで通り進めていく。 次年度は最終年度であり、論文執筆も開始する。そのためのデータの整理や解析等の作業にも取り掛かる。また、学会発表での指摘や議論の内容等を論文執筆にも活用していく。論文作成後英文校正も依頼する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23・24年度に引き続き、パニック障害の認知行動療法施行時にはフリップチャート、宿題記入用のノート等を使用しており、セッションに関連する消耗品費は引き続き必要になると思われる。また、同様にデータ収集に関し症状やQOL等の検査用紙はコピー作成する等しているためこれらに関連する消耗品費も必要となる。また、3か月後および12か月後のデータの収集は郵送によるアンケート形式であり、通信費が必要になるほか、回収率の向上を図るための謝礼として図書券等のノベルティも必要と考えられる。 エントリー数を増やすため、それに対応するための認知行動療法施行可能なセラピスト数の確保とグループ数の確保が必要となる。セラピスト養成に関しては、定期的なカンファレンスやワークショップを開催しており、それに関連する費用が発生する予定である。また、セラピストのスキルアップのため、学会やワークショップへの参加が必要となるため学会参加費や旅費等が必要となる。学会発表時のポスター作成料も必要である。また学術雑誌の購読や認知行動療法に関する基礎的な文献の購入も必要となると思われる。 また、データ数の増大に伴いデータ入力等の人員の確保が必要となるためそれに対する人件費が必要と思われる。 さらに次年度は最終年度であり論文執筆作業も開始するため、それに伴い英文校正料等も必要になると思われる。
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