研究課題/領域番号 |
23530911
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
渡辺 範雄 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20464563)
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研究分担者 |
古川 壽亮 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90275123)
下寺 信次 高知大学, 医歯学系, 准教授 (20315005)
香月 富士日 名古屋市立大学, 看護学部, 准教授 (30361893)
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キーワード | 精神療法 / 多施設共同試験 |
研究概要 |
不眠はうつ初期症状として最も良く見られ、うつが多少改善した後も残存してうつ再発の大きな危険因子である。われわれは既に不眠認知行動療法から必須要素を抽出して改良した短期睡眠行動療法(bBTi)を開発して8週間の無作為割り付け対照試験(RCT)を行い,その有効性を証明した(Watanabe et al, J Clin Psychiatry, 2011)。 本研究では,実際の精神療法教育システムの構築を通じて、その知識量の推移を量的検証を行い,また教育システムに対するコメントに対して質的研究を行った.具体的には,2011年12月に名古屋,2012年5月に東京にて,精神科医・精神科看護師・臨床心理士・精神保健福祉士で希望したものを対象に2日間の不眠・短期睡眠行動療法の研修を行った.さらにこの研修会前後に,不眠・CBT・不眠のCBTの知識量を30点満点で評価し,これらを対応のあるt検定を行うことで,有意な知識変化が生じるかどうかを検討した. さらに,研修会後の評価では,研修会に対する満足度や改善点に関するアンケートを実施して,質的データを抽出することで研修をより効果的に行うための要素を分析した. 結果,名古屋研修会に19人,東京研修会に25人の精神科医療者が参加し,その全員について研修会前後の知識量のデータが得られた.対応のあるt検定を行ったところ,研修会後には研修会前と比べて,統計学的有意(p<0.05)に知識量が増加した. またアンケートによる質的データとして,一つの治療要素について何度も反復したロールプレイを行うことが治療実施に関する自信を高めること,詳細なマニュアルが精神療法の実施には必須と考えられること,患者に対してはより分かりやすい用語を用いて説明する方が精神療法の施行に必要と考えられることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,研修会後のスーパービジョンを用いた実臨床研修と,その後の無作為割り付け対照試験を計画している.これに関して,スーパービジョンは既に10人程度施行したが,まだその人数が少なく質の担保された治療者の数がまだ不十分であるため,その後の無作為割り付け対照試験が開始できていない.
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今後の研究の推進方策 |
さらに研修会を追加し,スーパービジョンを用いた実臨床研修を進めることで質の担保された治療者の人数を確保する.また,無作為割り付け対照試験を遂行し,実臨床における短期睡眠行動療法の効果を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
精神療法研修会の施行.スーパービジョンを行うシステムの構築と維持.無作為割り付け対照試験における,インターネットを介した無作為割り付けシステム,データ管理システムの構築と維持.
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