研究概要 |
われわれは本研究以前に、不眠認知行動療法から必須要素を抽出して改良した短期睡眠行動療法を開発して8週間の無作為割り付け対照試験(RCT)を行ない,その有効性を証明した(Watanabe et al, J Clin Psychiatry, 2011)。 本研究では,この精神療法の教育システム構築を通じて効率的教育にとって必要な条件を抽出することを目的とした。2011年12月に名古屋,2012年5月に東京にて,精神科医・精神科看護師・臨床心理士・精神保健福祉士を対象に2日間の不眠・短期睡眠行動療法の研修を行ない、研修会前後に不眠・CBT・不眠のCBTの知識量を30点満点で評価し,有意な知識変化が生じるかどうかを検討した。また研修会の改善点に関するアンケートによる質的データを抽出し、研修をより効果的に行うための要素を分析した。 名古屋研修会に19人,東京研修会に25人の医療者が参加し,その全員について研修会前後の知識量のデータが得られた。研修会後には研修会前と比べて有意(p<0.05)に知識量が増加した。 また質的データとして,一つの治療要素について何度も反復したロールプレイを行うことが治療実施に関する自信を高めること,詳細なマニュアルが精神療法の実施には必須と考えられること,患者に対してはより分かりやすい用語を用いて説明する方が精神療法の施行に必要と考えられることが明らかとなった。 最終年度には、既存のデータをもとに短期睡眠行動療法によるQuality of Lifeにもたらす効果(Watanabe et al, Psychothera Psychosom, 2013)、精神療法のRCTにおけるブラインド化(Shimodera, Watanabe et al, J Clin Sleep Med, 2014)について考察し、英語原著論文として発表した。
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