研究実績の概要 |
本年は最終年にあたり、日本心理臨床学会と日本心理学会の2つで研究成果発表を行った。両学会発表内容の概要は次のとおり。日常の家庭生活において親が子どもと共に自分描画法(SPM)に取り組む可能性について、効用と課題の洗い出しを行った。具体的には「普段子どもが描く絵の内容(落書き)は何か」「子どもが普段描く絵には何かしらの思いがあらわれていると思うかどうか、そして思う場合は具体例を示す」「気になっているものとして何を描いたか」「どんな背景を描いたか」「絵の内容にもっとも近い感情は何か」「SPMで気づいたこと」等を、IBM SPSS Text Analytics for Surveys4.01、IBM SPSS Statistics ver20等を用いて分析した。対象は札幌A幼稚園年中児172名、年長児168名の計340名だった。研究はA3版用紙の裏表に必要なことを記し、保護者が読み家庭でSPMができるよう紙面を工夫した。その結果、126名(男児55、女児71;参照変数として4歳児37、5歳児61、6歳28)が対象となった(応答率38%)。その結果、普段描く絵で10個以上出現したのは「家族(50)→顔(50)→自分(44)→キャラクター(29)→友達(24)→女の子(19)→ハート(15)→動物(15)→ママ(13)→パパ(10)→車(10)」と身近なものが描画対象となった。「描画から描者の思いを感じ取ることができる」と多くの保護者が判断した。思いが感じとれる絵とは「これはお母さんのお顔ねと言いながら、その周りに大好きだからとハートマークを沢山描いた」絵など、親子の感情と絡む話が多かった。背景は自然風景が多く、感情については188件の回答結果、喜び(楽しい59、嬉しい7,幸せ8、安心6ほか)、興味(関心27、好奇心18)、願い(あこがれ21、希望10,期待5ほか)が大半を占めた。
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