研究課題/領域番号 |
23530913
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
冨家 直明 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (50336286)
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研究分担者 |
小川 豊太 (濱口 豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (80296186)
田山 淳 長崎大学, 保健医療推進センター, 准教授 (10468324)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コミュニケーションスキル / 項目反応理論 / ソーシャル・キャピタル / 学校間接続 / 学校適応 |
研究概要 |
昨今の教育界では、抑うつの増大とコミュニケーションスキル教育のあり方に関心が寄せられている。そのような中、へき地の比率の高い北海道では、すべての地域が公共性を保ちながら効果的に予防開発的アプローチを推進できるようになることが望ましい。 本年度は、はじめに、層別二段抽出サンプリング法を用いて抽出された北海道内の高校生2000名を対象にコミュニケーションスキルとソーシャルキャピタル、行動活性化、抑うつの関連を調査し、相互の変数間の関連性を表現するSEMモデルの構築に成功した。コミュニケーションスキルとソーシャルキャピタル、行動活性度はいずれも抑うつを軽減する作用を持っていた。本研究は日本教育心理学会第53回大会にて公表された。 次に、北海道教育委員会と共同研究協定を締結し、学級満足度を従属変数とし、ソーシャルスキルを説明変数とするアセスメントパッケージ「アセス」を使用して、全道内の小・中・高において学校適応におけるコミュニケーションスキルの位置を明らかにすべくSEMを用いた調査研究を行った。その結果、スキルによる説明力は高いものの、教師の直接的な介入によって学校適応を高める作用は弱いことが明らかになった。本研究もまた上記の日本教育心理学会にて公表された。 さらに、教師の目線から児童生徒のコミュニケーションスキルを測定する尺度を作成する研究を行った。全道から選ばれた指導主事の協力のもと、スキルを測定する先行研究を踏まえつつ、新しいスキル測定尺度を作成した。KJ法、項目反応理論による項目精選を経て、1次元12カテゴリーの新しいテストが完成した。これは小学校低学年、中学年、高学年、中学校、高校用と5種類に分けられた。本研究成果は平成24年度の日本教育心理学会にて公表される予定である。 また、今後は、本尺度を活用したスキルの測定と介入実践が行われる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定であった、ソーシャルキャピタルと行動活性化を含む抑うつの調査は完了し、投稿段階に入っている。 また、小~高校までを網羅した新しいスキル尺度の開発が順調である。その原因は北海道教育委員会との連携体制がしっかりできたことであり、本研究は北海道議会でも取り上げられたことである。さらに地域のニーズも追い風になっている。そのため、より実践力の高いスキル尺度とその教育実践方法の開発が期待される状況になっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、コミュニケーション教育を全道規模に拡大できるように、実践段階に移行する。具体的には、作成されたスキル項目が学校教育課程のどの部分と関連を持つかについてスキル指導マップを作成し、現場の教員が指導を行いやすいような教材を開発する。関連した動画教材も開発する。また、習得したコミュニケーションスキルをどのように行動活性化につなげ、抑うつ予防をするかについて実践介入研究を行い、その成果を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費用は、スキル尺度を利用するためのソフトの開発、実践的な介入を可能にするための教育映像コンテンツの開発などに関する委託費用、謝金、物品費と、成果の学会発表、成果公表のための印刷物作成費用に使用する。
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