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2012 年度 実施状況報告書

言語機能分析を用いた心理療法の効果研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530919
研究機関大妻女子大学

研究代表者

福島 哲夫  大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (60316916)

研究分担者 加藤 澄  青森中央学院大学, 経営法学部, 教授 (80311504)
岩壁 茂  お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 准教授 (10326522)
キーワード言語分析 / 感情分析 / 感情評定 / プロセス研究
研究概要

実際の心理療法の8事例各2~5セッションを録音・録画したものを元にトランスクリプトを作成し、言語分析をおこなった。その中でもとくに感情を表す言語(評価言語)に関して、クライエントの発言とセラピストの発言の両方の分析を進めた。前年度の研究により言語分析・質的分析・音声分析ともに、感情や評価言語を中心にすえることによって、セラピーのプロセスや効果の測定として有効な方法となりうることが示唆されたので、さらにデータを増やして分析を進めることと並行して、実際的な効果を検証する手続きの一つとしてクライエントへのインタビューも実施した。
現時点までで明らかになったこととして、成功したケースはセラピーの中でゆっくりとしたペースで長期的に感情表現が促進されていく様子がうかがわれた。とくにセラピー中期においてクライエントの感情面に十分に触れており、さらにその感情が内容的にも強度としても変化していくという特徴があると言える。そして、そのためにセラピストが十分な共感を示しながらも、そのクライエントの感情を肯定したり受け止める介入により、クライエントの感情調整をたすけ、その後さらにクライエントの「名詞化表現」や「メタ認知」を促進するような介入により、感情の肯定的方向への変化や安定化をはかっているということがうかがわれた。
また、クライエントへのインタビューは、とくにセラピストの肯定的な介入に関しては、病態による反応の違いがはっきりと表れた。そしてインタビュー時の振り返りの正確さや明確さには、やはり病態水準が関係していると思われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

データ収集、分析作業ともに順調に進展しており、今後は考察を進めることに重点が置かれるため。

今後の研究の推進方策

残る音声評定と分析作業、そして考察を進め、成果発表に努める。

次年度の研究費の使用計画

データ分析の残りの作業を進めるために謝金が必要なことと、成果発表のための学会出張費および論文翻訳費用が必要となる。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 評価言語より解析する家族療法面接における対人関係性構築のメカニズム:質的分析2013

    • 著者名/発表者名
      加藤 澄
    • 雑誌名

      家族心理学研究

      巻: 27-1 ページ: 29-43

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 母親であることと心理臨床家であること:子育て体験と臨床活動の交差2013

    • 著者名/発表者名
      山口慶子・岩壁 茂
    • 雑誌名

      心理臨床学研究

      巻: 31 ページ: 728-738

    • 査読あり
  • [雑誌論文] クライエントの過程構成のマッピングより得られる変化測定尺度としての起動者性2013

    • 著者名/発表者名
      加藤 澄
    • 雑誌名

      機能言語学研究第7号

      巻: 第7号 ページ: 1-15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 評価言語より解析する家族療法面接における対人関係性構築のメカニズム:量的分析2013

    • 著者名/発表者名
      加藤 澄
    • 雑誌名

      家族心理学研究

      巻: 第27巻第1号 ページ: 1-15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 臨床心理学・最新研究レポート第2回心理療法における関係性の深みの研究2013

    • 著者名/発表者名
      岩壁 茂
    • 雑誌名

      臨床心理学

      巻: 第13巻 ページ: 1-15

  • [雑誌論文] 臨床家のストレス2013

    • 著者名/発表者名
      岩壁 茂
    • 雑誌名

      臨床心理学

      巻: 第13巻 ページ: 1-15

  • [雑誌論文] 臨床心理学・最新研究レポート第1回心理療法における関係性の深みの研究2013

    • 著者名/発表者名
      岩壁 茂
    • 雑誌名

      臨床心理学

      巻: 第13巻 ページ: 25-35

  • [雑誌論文] 怒りを表出したクライエントへの治療的対応に関するプロセス研究2013

    • 著者名/発表者名
      髙岡昂太・糟谷寛子・福島哲夫
    • 雑誌名

      臨床心理学

      巻: 第13巻 ページ: 391-400

    • 査読あり
  • [学会発表] 言語機能分析と質的分析による心理療法のプロセス・効果研究-感情を表出する語彙‐表現の言語学的分析と臨床心理学的分析-2012

    • 著者名/発表者名
      福島哲夫・加藤 澄
    • 学会等名
      日本心理臨床学会第31回大会
    • 発表場所
      愛知学院大学(愛知県日進市)
    • 年月日
      20120914-20120916
  • [学会発表] TCMからJTCMへの改訂版の開発と日本語心理療法への応用性2012

    • 著者名/発表者名
      加藤 澄
    • 学会等名
      日本心理臨床学会第31回大会
    • 発表場所
      愛知学院大学(愛知県日進市)
    • 年月日
      20120914-20120916
  • [学会発表] 二項対立の面接場面におけるセラピストの肯定-合議制質的研究法による初期モデルの生成-2012

    • 著者名/発表者名
      足立英彦・坂本憲治・藤岡勲・中村香理・糟谷寛子・隅谷理子・福島哲夫・沢宮容子・岩壁茂
    • 学会等名
      日本心理臨床学会第31回大会
    • 発表場所
      愛知学院大学(愛知県日進市)
    • 年月日
      20120914-20120916
  • [学会発表] TCMからJTCMへの改訂版の開発と家族療法への応用性2012

    • 著者名/発表者名
      加藤 澄
    • 学会等名
      日本家族心理学会第29回大会
    • 発表場所
      東京学芸大学(東京都小金井市)
    • 年月日
      20120714-20120716
  • [図書] 臨床心理学入門2013

    • 著者名/発表者名
      岩壁茂・福島哲夫・伊藤絵美
    • 総ページ数
      294
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] Counselling and psychotherapy in Japan. Scheduled for publication in R. Moodley, U. P. Gielen, & R. Wu (Eds.), Handbook of counselling and psychotherapy in an international context2012

    • 著者名/発表者名
      Iwakabe, S., & Enns, C. Z.
    • 総ページ数
      235-250
    • 出版者
      Routledge

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公開日: 2014-07-24  

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