研究課題/領域番号 |
23530923
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山科 満 中央大学, 文学部, 教授 (40306957)
|
研究分担者 |
葛西 真記子 鳴門教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70294733)
伊東 朋子 (鈴木 朋子) 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (60422581)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 心理療法過程 / 心理療法教育 |
研究概要 |
本年度は,臨床心理士養成大学院の基礎実習に取り入れられている「試行カウンセリング」の逐語録収集を精力的に行った。共同研究者のうち横浜国立大学の鈴木が産休・育休のため1年間休職したため,中央大と文教大の2大学院で協力者を募った。合わせて22事例で面接者・被面接者双方から同意が得られ,面接者が作成した面接逐語録が回収できた。しかし,いずれの大学院でも1年次の後半から年度末近くにかけて実習を行ったため,回収は年度末までずれこんだ。そのため,実際にPQS評定を行って解析するには至らなかった。また,鳴門教育大学は2年次の前期に実習を行うため,研究協力の同意を得る段階にとどまった。 熟練心理療法家の面接を比較対象とするため,「試行カウンセリング」と同形式で面接を実施し逐語録を収集し評定することになった。現在まで6名の心理療法家から協力の内諾を得ている。 他方,PQS評定の信頼性を高めるために,すでにPQS評定に精通している専門家3名を研究協力者として募り,研究代表者を含む4名で,「試行カウンセリング」の逐語録を対象としたPQS評定のトレーニングを繰り返し実施した。3回のトレーニングにより,4名の評価者間でスピアマン=ブラウン補正値で最低でも0.7以上と,良好な評価者間一致度を達成することが出来た。また,データ解析の具体的な方法・手順などについて,統計学の専門家を招いて指導を受けた。以上より,次年度に,すでに収集している逐語録から順次PQS評定を行い,データ解析までを行う準備が整ったといえる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究目的の一つである「大学院生の面接技量を客観的に検証し,重点的に教育すべき点を見いだす」ことが最も早期に実施できると考えられていた。しかし,大学院における実習時期が例年よりずれ込み,年度内に逐語録を収集し解析に入ることが出来なかった。予算のうち,謝金部分で繰越金が多く発生したのはこのためである。 熟練心理療法家の面接記録の評価については,研究計画の見直しがあり,本研究で主たる方法として採用している「試行カウンセリング」と同形式での面接を実施することとなり,新たな研究協力者を募ることに時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
すでに回収している逐語録に対し,PQS評定を順次開始する。平行して鳴門教育大学大学院からの逐語録の回収も行い,30例以上の評定を行い,他の評価尺度と併せて解析を行っていく。今年度中には,ある程度まとまった解析が行えると考えている。 学会発表については,予定していた心理臨床学会の演題締め切りにデータ解析が間に合わなかったため,次年度は行わないが,最終年度にまとまったデータが発表できるように,準備を進める。抄録締め切りが前年度の3月末であり,そこまでにはデータをそろえる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,PQS評定は「試行カウンセリング」で30例以上,さらに熟練心理療法家の面接も可能なら10例以上行う。1例に着き2名以上の評定者が独立して行う。この評定の謝金に最も多くの出費が伴い,3大学で合わせて80万円以上の出費を見込んでいる。データ解析に際しては,引き続き専門家の助言を得るために5万円程度の謝金支出を見込んでいる。また,データ整理などのためにアルバイトを雇用し,年度で15万円ほどの支出を見込んでいる。 共同研究者の打ち合わせを2回程度実施し,このための出費に20万円ほどを見込んでいる。 その他,文具などで若干の支出を想定している。
|