研究課題/領域番号 |
23530924
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
森田 慎一郎 北里大学, 医学部, 准教授 (90515123)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | キャリア発達 / 認知行動療法 / 学生相談 |
研究概要 |
今日、キャリア形成に困難が生じており、学生におけるキャリア発達を支援することが急務となっている。しかし、これまでの臨床心理学はキャリア発達支援に十分な貢献をしているとは言い難かった。そこで、臨床心理学を活用したキャリア発達支援として、認知行動療法を活用した高校生用キャリア教育プログラムの開発(以下,研究1)と、大学の学生相談部門と就職サポート部門の協働によるキャリア支援システムの開発(以下,研究2)を行う。研究1では,高校生を対象としたキャリアに対する認知に関する調査を行った。具体的には、先行きの見えにくい社会でのキャリア形成においては、仕事以外の領域も含むライフキャリアにおけるレジリエンス(精神的回復力)を高める必要があるため、まずはそのようなレジリエンスを測定する尺度を作成することを目的として、2011年12月に、中学校1校と高校2校の計1,223名を対象とした質問紙調査を行った。その結果、5因子(積極性、多軸性、準備性、柔軟性、楽観性)41項目から構成されるライフキャリアレジリエンス尺度が作成された。今後、この尺度を認知行動療法を活用した高校生用キャリア教育プログラムを用いた実験授業において、効果測定等のために使用する予定である。研究2では、調査に先立ち、論考の作成と出版を行った(「学生相談必携GUIDEBOOK・金剛出版」第2章キャリア発達の変化と学生相談の課題、及び、第12章キャリア支援と学生相談の協働)。今後は、この論考をもとに調査を展開する予定である。なお、研究全体が近視眼的なものになるのを防ぐため、キャリア意識に関する調査については、複数の国の大学生を対象とした国際比較調査と、大学生と同様にキャリア形成の困難に直面している社会人(失業者、休職者など)を対象とした調査を研究1と研究2に並行して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、認知行動療法を活用した高校生用キャリア教育プログラムの開発(以下,研究1)と、大学の学生相談部門と就職サポート部門の協働によるキャリア支援システムの開発(以下,研究2)を主に行う。現在、研究1は当初の計画以上に進展しており、また、研究2はやや遅れているものの、下地となる論考がしっかりとしたものになったため、今後は順調な進展が見込める。したがって、総合的には、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、研究1では、高校生のキャリアに対する認知の特徴をもとに開発されたキャリア教育プログラムを用いた実験授業を高校で実施する。研究2では、学生相談部門と就職サポート部門の協働に関するニーズの調査を本格化させる。平成25年度は、研究1では、前年度までに得られた成果の論文化を行う。研究2では、前年度に本格化させる学生相談部門と就職サポート部門の協働に関するニーズの調査を継続し、得られたデータを質的に分析し、さらに、当該二部門の協働によるキャリア支援システムのモデルの作成と論文化を行う。なお、並行的に進めている国際比較調査と社会人を対象とした調査についても、順次、発表または論文化を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、研究1における高校生を対象とした実験授業と研究2における大学の就職サポート部門および学生相談部門を対象とした面接調査を行う。まず、最新の情報を文献等で確認するための図書代と文献収集コピー代が必要となる。さらに、実験授業では、授業を記録するための記憶媒体、さらに、質問紙等紙代、アンケートの配付・回収の謝金、データ入力のための業務委託費等が必要となる。また、面接調査では、出張が伴う調査の国内旅費、就職サポート部門の担当者、及び、学生相談の専門家(臨床心理士)にご協力いただたくための謝礼、ならびに彼らに事前に資料を送付するための代金が必要となる。また、両研究の分析において、認知行動療法、キャリア教育、質的研究または統計学の専門家からアドバイスをいただくための謝礼が必要となる。上記以外には、研究成果発表に関わる費用、プリンターのインク代等が必要経費である。
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