研究課題/領域番号 |
23530924
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
森田 慎一郎 北里大学, 医学部, 准教授 (90515123)
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キーワード | キャリア発達 / 認知行動療法 / 学生相談 |
研究概要 |
今日、学生におけるキャリア発達を支援することが急務となっている。しかし、臨床心理学はキャリア発達支援に十分な貢献をしているとは言い難い。そこで、臨床心理学を活用したキャリア発達支援として、認知行動療法を活用した高校生用キャリア教育プログラムの開発(以下,研究1)と、大学の学生相談部門と就職サポート部門の協働によるキャリア支援システムの開発(以下,研究2)を行う。 研究1では、平成23年度に、他の研究者と共同して,当該プログラムの開発とともに,中学生と高校生を対象とした質問紙調査によって、ライフキャリアにおけるレジリエンス(精神的回復力)を測定する尺度を作成した。平成24年度は、引き続き、他の研究者と共同して、高校生を対象に当該プログラムを用いた実験授業を行った。その結果、実験群(約40名)では、実験前後の比較でライフキャリアレジリエンス得点が有意に高まった。一方、対象群(約70名)では、そのような変化はほとんど認められなかった。 研究2では、平成23年度に作成した論考をもとに学生相談と就職サポート双方についての経験や知識のある大学教員等を対象としたインタビュー調査を展開した。地域の偏りを防ぐため、北海道、東北、中部、近畿、関東の4年生大学で計6名の教員からインタビューデータを収集した。なお、キャリア発達については幅広い視点からの検討を行うことが重要であるため、日本以外の国や思春期青年期以外の発達段階を対象とした研究を、研究1と研究2に並行して行った。平成24年度は,大学生のキャリア意識に関する国際比較調査の結果をもとに、他の研究者と共同執筆した論文を公表し、さらに、大学生と同様にキャリア形成の困難に直面している社会人(失業者、休職者、非正規雇用者など)に着目して、先行研究のレビューならびに調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、認知行動療法を活用した高校生用キャリア教育プログラムの開発(以下,研究1)と、大学の学生相談部門と就職サポート部門の協働によるキャリア支援システムの開発(以下,研究2)を主に行う。現在、研究1は当初の計画どおりに進展しており、また、研究2はやや遅れているものの、調査対象となる大学の所在地が今後は関東地区が多くなっていくため、順調な進展が見込める。したがって、総合的には、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、研究1では、前年度までに得られた成果の発表または論文化を行う。研究2では、学生相談部門と就職サポート部門の協働に関するニーズの調査を継続し、得られたデータを質的に分析し、さらに、当該二部門の協働によるキャリア支援システムのモデルの作成と論文化を行う。 なお、並行的に進めている国際比較調査と社会人を対象とした研究についても、順次、発表または論文化を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究1と研究2双方において、得られた成果やデータをもとに発表または論文化を行い、さらには並行的に進めている国際比較調査と社会人を対象とした研究も発表または論文化を行うため、最新の情報を文献等で確認するための図書代と文献収集コピー代、学会等で最新情報の収集や発表を行う場合の旅費、ならびに、質問紙データ、インタビュー調査の音声データ、実験授業における写真や音声等のデータなどを保管し分析するためのPC、データの解析用ソフトウエア、視覚的データを印刷するためのプリンターや紙代などが必要となる。また、両研究の分析において、認知行動療法、キャリア教育、質的研究または統計学の専門家からアドバイスをいただくための謝礼が必要となる。 加えて、研究2では、発表または論文化の前段階で、学生相談部門と就職サポート部門の協働に関するニーズ把握のためのインタビュー調査を前年度からの継続で行うため、出張が伴う場合の旅費、就職サポート部門の担当者および学生相談の専門家(臨床心理士)にご協力いただたくための謝礼、彼らに事前に資料を送付するための代金,さらには、インタビューデータのテープ起こしのための業務委託費等が必要となる。上記以外には、論文別刷代、プリンターのインク代等が必要経費である。
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