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2013 年度 実施状況報告書

学校心理・教育臨床におけるコンサルテーション教育訓練プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23530925
研究機関立教大学

研究代表者

大石 幸二  立教大学, 現代心理学部, 教授 (80302363)

キーワードコンサルテーション / 相談過程 / コンサルタント / 語り / テキストマイニング / コンサルテーション過程分析記録 / 言語的相互作用
研究概要

平成25年度(第3年次)の研究課題は、コンサルテーションの専門教育訓練カリキュラムを整備することであった。第1年次の研究において、行動の機能的理解に基づくコンサルテーションが、コンサルティとクライアント双方の行動変容に有効である(野口・大橋・大石,2012)ことが検証された。また、第2年次の研究において、コンサルタントが操作すべき独立変数として「相談効果」とともに「相談過程」がある(大橋・野口・大石,2013)ことが明らかになった。以上の研究知見をもとに、1.効果的なコンサルテーションでは、行動の機能的理解が重要になること、2.実際の相談過程では互恵的でコンサルティの課題解決行動を動機づけるような相互作用が必要であること、が明確になった。そこで、第3年次の研究ではコンサルタントの「語り」に焦点を合わせた分析を進めた。
「語り」に焦点を合わせた分析を行うのは、先述した独立変数の操作をいかなる言語的相互作用をつうじて達成できるのかが明らかにされていないためである。本研究では、相談過程を逐語記録に起こし、テキストマイニングの手法を用いて言語的相互作用の分析を行った。加えて、日本全国で活用されている特別支援学校のコーディネーターを対象として、上記の知見を活用した巡回相談を実施した。その結果、コンサルティとクライアントの行動変容のみならず、教育支援に係る移行支援体制整備にも影響を及ぼすことが判明した(赤塚・大石,2014)。しかしながら、教育訓練プログラム(評価票・DVD)の作成には至らなかった。
残された課題は、過去3年間の研究知見をもとに、1.Bergan & Tombari(1975)のコンサルテーション過程分析記録(CAR)に、「相談過程」の要素を加味して改訂し、2.実際の相談過程を模した相互作用の素材をDVDに収録することである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度(第3年次)の研究の進捗状況について「やや遅れている」と評価できる。その理由は、平成25年度は本研究の最終年次でありながら、当初の計画どおりに研究成果を修めることができなかったことによる。教育訓練プログラム(評価票・DVD)の作成には至っていない状況である。そのため、科学研究費助成事業(学術研究助成基金)補助事業期間の延長承認申請を行い、承認を得ることになった(2014年3月19日承認済)。
期間延長の理由は、1.相談過程を逐語記録に起こし、テキストマイニングの手法を用いて言語的相互作用の分析を行うためのデータをできるだけたくさん蓄積しなければならなかったことと、2.コンサルテーション過程分析記録(CAR)に「相談過程」の要素を加味した分析基準を含む素材(相談実施上のポイントや面接のコツなどを収録したDVD)の作成を慎重に進める必要があったこと、に起因する。
それでも、第1年次に論文一編、第2年次に論文一編、第3年次に論文一編を学術雑誌に発表(すべて査読付)しており、一定の成果を修めていると認めることはできる。

今後の研究の推進方策

平成26年度(期間延長;最終年次)の研究では、コンサルテーションの専門教育訓練カリキュラムを整備することが目標となる。本研究の開始時点において東日本大震災の影響を受け、全体計画を変更・縮小せざるを得ず、研究計画段階よりも焦点を絞り込んだパッケージの提案を行うべく研究を進めてきた。その研究の過程で、収集されたデータには、対象者間で「語り」に関する一貫した結果が得られない部分があり、十分な根拠を蓄積するために追加的なデータの収集を行わなければならない。このデータの収集は、本年度の上半期(7月末を目途)に終了する。一方、教育訓練プログラム(評価票・DVD)の作成を本年度の下半期(1月を目途)に終了させる。あわせてこの間にコンサルタントの相談過程における「語り」に関する研究論文2編(6つの下位研究の最後の2つ)を完成させる。

次年度の研究費の使用計画

補助事業期間(平成23~25年度)に6つの下位研究に着手した。「9.研究実績の概要」欄でも触れた3つの研究は学会誌発表済である。なお、4つ目の研究(「人間関係学研究」展望論文)は、「修正採択」が決定している。
現在、投稿準備を進めている2研究は、学会発表を重ねている。けれども、対象者間で「語り」に関する一貫した結果が得られず、結論を導くために十分な根拠を蓄積するためには、コンサルタントの実際の相談過程の追加的データの収集が必要である。その際、これまで考慮してきたコンサルタントの専門実務に関する経験年数に加えて、その経験内容についても考慮する必要がある。その円滑な実行のために、未使用額の使用が必要である。あわせて、東日本大震災被災地を調査地域に含んだことで、研究着手が適わずに、教育訓練プログラム(評価票・DVD)の作成に係る計画の変更を余儀なくされたことも、未使用額が生じる結果を助長した。
延長期間の課題は、1.言語的相互作用の分析と、2.介入効果の検証のための追加的データの収集、3.教育訓練プログラム(評価票・DVD)の作成である。前記の1.と2.を行うため、出張旅費(680千円;2名×8回)と消耗品費(100千円)、謝金(200千円;データ整理・分析アルバイト)が必要となる。また、3.を行うため、印刷費(100千円)、委託費(600千円;DVD作成)が必要となる。以上はすべて、直接経費の未使用額から執行する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 就学期の移行支援体制づくりに関する実践的研究―地域における特別支援学校のコーディネーターの役割と課題―2013

    • 著者名/発表者名
      赤塚正一・大石幸二
    • 雑誌名

      特殊教育学研究

      巻: 51(2) ページ: 135-145

    • 査読あり
  • [学会発表] 就学期の移行支援における相談過程の分析―発話内容のコンサルタント間の比較―2013

    • 著者名/発表者名
      大石幸二
    • 学会等名
      日本特殊教育学会
    • 発表場所
      明星大学
    • 年月日
      20130830-20130901
  • [学会発表] 小学校におけるクラスワイドSSTの効果に関する研究―情動面の問題改善および対人相互作用の促進と学級集団への影響―2013

    • 著者名/発表者名
      石岡れい子・大石幸二
    • 学会等名
      日本特殊教育学会
    • 発表場所
      明星大学
    • 年月日
      20130830-20130901

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公開日: 2015-05-28  

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