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2011 年度 実施状況報告書

思春期・青年期の自閉症スペクトラム障害者の対人交渉スキル支援プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23530927
研究機関聖隷クリストファー大学

研究代表者

長峰 伸治  聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (50303574)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード対人交渉スキル / 自閉症スペクトラム障害 / 支援プログラム
研究概要

本研究では、自閉症スペクトラム障害(ASD)者が、対人葛藤場面において自分と相手の両方の要求(視点)を調整しながら相手と交渉することができる「対人交渉スキル」を習得するための支援プログラムの開発が主目的である。 今年度は、この支援プログラムのうち、(1)ASD当事者が対人葛藤場面においてどのような行動をとるのかを把握するアセスメント、(2)対人交渉の仕方に関するスキルの習得を目的としたワークショップについて検討を行った。 (1)のアセスメントについては、ASD者の対人交渉スキルのチェックリスト作成のために必要な調査を実施した。この調査は日常生活で直面する対人葛藤場面に対する交渉スキルを問う質問紙法により、ASD者56名、定型発達者27名に実施した。 (2)のワークショップについては、ASD者7名(男性6名、女性1名,小学校4年生~中学校2年生)を対象に1回2時間半×3セッション行った。ワークショップの内容については、長峰(2010)が作成した内容を基に、ASD支援に従事している臨床心理士2名と共に検討を行い、一部改変して、ワークシートを作成した上で実施した。ワークショップの構成は、ある対人葛藤場面について「自分の要求(したいこと)とその理由を伝える」「相手の要求とその理由を尋ねる」「自分も相手も納得できる解決案を考える」に関するワークを行い、その上でロールプレイによる話し合いの練習を実施した。 ワークショップの効果測定のために、実施前後に参加者に対して個別面接を行い、対人葛藤場面における対人交渉方略を調査した。その結果、7名中6名の参加者において、相手と交渉をせず一方的に自分の要求を押し通そうとする反応から、自他双方の視点に立ち、相手の意向を確認するなど、お互いが納得・同意することをめざす反応へと変化が認められ、本ワークショップが「対人交渉スキル」の質の向上に有効であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度予定していた「対人交渉スキル」のアセスメントとワークショップに関する検討のうち、ワークショップについては内容の検討、ワークシートの作成、実施、効果測定というように予定通り実施できた。アセスメントについてはチェックリスト作成に必要な質問紙調査を実施することはできたが、対象者数が不十分であったため、調査数を増やす必要が生じた。

今後の研究の推進方策

まず、本年度達成できなかったアセスメントに関する質問紙調査をさらに対象者数を増やして実施する。その上で、ASD者と定型発達者との間、あるいは、ASD者内における比較分析を行って、対人交渉スキルの支援が必要か否かの指標について検討してチェックリストの作成につなげる。 また、ワークショップについては「初級コース」(主として小学校高学年・中学生・高校生)、「上級コース」(主として高校生、大学生、専門学校生、就労者)という、ASD者の対人交渉スキルの発達レベルに応じた内容にするべく検討を行い、実施して効果測定を行う。

次年度の研究費の使用計画

次年度に使用する予定の研究費が生じたのは、「対人交渉スキル」のアセスメントに関する質問紙調査の対象者やデータ整理等を行う研究補助者の謝礼等にあたる研究費が本年度未執行であったためであり、これらの研究費を次年度に使用する。 また、当初計画していた次年度に使用する研究費は、上記推進方策に基づき、ワークショップの実施に関わる調査旅費、対象者・実施補助者・データ整理補助者への謝礼、本研究に関する資料収集を目的とした研究旅費、ワークショップのワークシートや質問紙調査を作成する上で必要な消耗品(印刷紙・プリンターインクリボン)等に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 意見が対立した時に交渉するための話し合いルールブック2011

    • 著者名/発表者名
      辻井正次 監修、長峰伸治・入野奈穂・大隅香苗 著
    • 総ページ数
      18
    • 出版者
      特定非営利活動法人 アスペ・エルデの会

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公開日: 2013-07-10  

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