研究課題/領域番号 |
23530928
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
志村 ゆず 名城大学, 人間学部, 准教授 (90363887)
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キーワード | 高齢者 / 抑うつ感 / 心理療法 / ライフレビュー法 / 効果評価 / 尺度開発 |
研究概要 |
平成25年度は、研究1ライフレビュー機能尺度の妥当性の検討と人生評価尺度の信頼性と妥当性の検討を行うこと、研究2ライフレビュー法の実施と抑うつ改善効果の検証、研究3ライフレビュー法による抑うつ改善に関する効果要因の検証を行うことを計画した。1のライフレビュー機能尺度の構成概念妥当性の検討では1,061名の成人(60歳以上)を対象にして質問紙調査をおこなった。大規模調査を想定して平成25年度に検討した項目を短縮し因子論的妥当性を検討した。その結果5因子22項目の尺度に構成することができ、先行研究と同様の因子も抽出された。折半法や再テスト法では信頼性に足る値が算出できた。基準関連妥当性については引き続き平成26年度に検討する予定である。同じ対象者で検討した人生評価尺度では項目を増やし3因子11項目の尺度に構成することができた。内的整合性をα係数で算出し高い信頼性の値を得ることができた。さらに再テスト法でも十分な値が得られた。研究2では継続して対象者を募集しこれまで調整した尺度を用いて引き続きライフレビュー法を実施し介入方法を構成することができた。研究3では、抑うつ改善に関する効果要因の検証を行った。60歳以上を対象にした大規模調査で、抑うつ尺度(CES-D)とライフレビュー尺度との関連性を検討した。その結果、ある形式のライフレビューと抑うつに有意な負の関連性がみられことが確認できた。これよりライフレビュー法において過去における認知的特徴に焦点を当てることが抑うつの改善につながる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者を対象にした大規模調査を実施することができライフレビュー尺度と人生評価尺度の妥当性を検討し信頼性の検討を行うことができた。ただし構成概念妥当性の検討については課題が残されている。そのため平成26年度には引き続き尺度の妥当性を検討し尺度をさらに洗練させるための調査を実施する。大規模調査が順調に進展したのは調査協力者のコミュニティ意識の高さと理解と協力が十分であったこともその背景の一つといえる。研究2と研究3においても当初の計画に改善を加え順調に進展しており研究上の問題点はない。
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今後の研究の推進方策 |
尺度の構成概念妥当性を平成26年度では検討する予定である。研究1ではライフレビュー機能尺度と人生評価尺度妥当性を引き続き検討する予定である。研究2では引き続き研究計画に沿って介入研究を行う。研究3では指標を検証しながら引き続き検討を行う。平成26年中に予定の研究が遂行できなかった場合には平成27年度に繰り越して実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が947円となったが年度末の予備として保留していたため生じた。今年度郵便料金の値上がりや新規消費税導入による値上がりが見込まれるために今後の郵送費や事務用品の購入に充てる予定である。 平成26年度には全体で400千円の使用を計画している。内容は以下のとおりである。調査用消耗品として(60千円)、調査用紙回収用の事務用品の購入(20千円)、研究図書(20千円)の購入を計画している。国内旅費として調査用旅費として(80千円)を計画している。そのほか、今年度も引き続き質問紙調査および面接を実施するため郵送費(70千円)、書類の印刷(220千円)を計画している。
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