研究概要 |
これまでの発達障がい児を持つ保護者への支援は、子どもとかかわるスキル中心に行われてきた。保護者への支援をスキル中心の支援だけでなく、保護者のメンタルヘルスの支援も付け加えていくことが望まれている。本研究の目的は、発達障がい児の保護者のメンタルヘルスの向上を目指す心理・教育的支援プログラムを開発し、その有効性を実証的に示すことである。 2011年度には、予備研究の報告とワークショップ(WS)の研修のためにACBS 9thに参加し、ワークショップのテキストを作成した。2012年度はwaiting list designによる有効性の検討研究を実施し、その成果を2013年7月に開かれたACBS Anual World Conference 11thで行った。20名の保護者がWSに参加した。WSの効果は、BDI-II(抑うつ尺度), GHQ-28(一般健康尺度)の2つの効果尺度で、介入のプロセスを検討するためにAAQ-II(心理的柔軟性を測定する尺度)とFFMQ(マインドフルネスの状態を測定する尺度)の2つの尺度が用いられた。BDI-IIはグループとphase間で有意な相互作用が見られた。また、参加毎のワークショップ前後の変化は、BDI-IIにおいて有意に改善していることが認められた。2013年度はランダマイズ・コントロールデザインを用いた研究を行った。これまで、予備研究を含めて4つの実証研究が実施された。4つの実証研究全体での参加者は77名であった。WSの有効性、プロセスの実証のために、この77名のデータを使って、分析を行った。その結果、BDI-II、及びGHQ-28にWSは有効であることが示された。また、これらの変化にはAAQ-IIが貢献していることが明らかとなった。この結果は、2014年6月に開催されるACBS 12thにおいてポスター発表する予定である(accept済み)。
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