研究課題/領域番号 |
23530931
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岡本 茂樹 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50412755)
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キーワード | ロールレタリング / 受刑者 / 教育プログラム |
研究概要 |
2012年度は,熊本刑務所において,生命犯の受刑者に対する特別改善指導である「被害者の視点を取り入れた教育」の教育プログラムを作成し,4名の受刑者に実施した。2012年度の研究は,4度目の実践になり,過去3年間の研究成果を踏まえた教育プログラムとなっている。具体的には,グループワークを通じて,受刑者は「加害者の視点」をテーマに犯罪を起こした自分自身の内面の問題を洞察し,最後に「被害者の視点」を取り入れたカリキュラムとなっている。そして,この教育プログラムにロールレタリングを導入することによって,受刑者の自己理解と罪の意識が高まっていることも明らかとなった。 また,研究の実践と並行して,研究成果の公表を行った。具体的には,2012年度は,日本司法福祉学会ならびに日本ロールレタリング学会において,殺人罪の受刑者に対する教育プログラムの効果の検証に関する研究を報告した。また,2012年度は,『ロールレタリング 手紙を書く心理療法の理論と実践』(金子書房)ならびに『無期懲役受刑者の更生は可能か 本当に人は変わることはないのだろうか』(晃洋書房)の2冊の著書を刊行し,一般のカウンセリングと矯正教育においてロールレタリングが効果的に活用できることを検証した。 以上から,矯正教育における特別改善指導である「被害者の視点を取り入れた教育」にロールレタリングを導入することによって,「加害者の視点」と「被害者の視点」の両方の視点を取り入れた効果的な教育プログラムを作成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は,2012年度で4回目の実践となったため,過去3年間の実践で明らかになった課題と問題点を踏まえて,教育プログラムを作成している。すでに昨年度の教育プログラムである程度計画が進展していて,今年度は作成したカリキュラム通りにほぼ教育プログラムを進めることができた。 基本的なコンセプトは,「加害者の視点」から受刑者の内省を促したうえで,「被害者の視点」を取り入れる形の教育プログラムが効果的であることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究課題の推進方策として,2012年度に作成した教育プログラムを本年度も実施し,「加害者の視点」から「被害者の視点」へと展開するプログラムの課題と問題点について検討する。そして,「ロールレタリングを取り入れた教育プログラム」を完成させたい。 また,矯正関係者にこの教育プログラムを広く理解してもらうために,実践の成果を発表したい。具体的には,学会発表だけでなく,著書の刊行を目指している。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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