平成27年度前半には,開発したコミュニケーション・スキル訓練の効果測定を行い,プログラムを他の小・中学校においても実施し,そのコミュニケーション・スキル訓練がどの程度効果があったかを多角的に測定した。比較的簡単なプログラムを実施し,スキル訓練の結果,児童・生徒のコミュニケーション・スキルは向上したか,対人関係や精神的健康状態にどのような変化が起こったかなどについて短期的効果(直後)だけでなく長期的効果(半年後)も測定した。その結果,直後の効果測定においては,スキルの向上がみられた。また,比較対象として,大学生に対してもコミュニケーション・スキルを測定し,青年期のコミュニケーション・スキルと友人関係,恋愛関係,親子関係との関連を検討した。さらに,青年期後期の若者の職場でのコミュニケーション・スキルを測定した。スキルは同僚とのコミュニケーション・スキルと上司とのコミュニケーション・スキルを区別して測定した。その結果,いずれのスキルにおいても,スキルが高い若者のほうが低い若者よりも,対人関係が良好で,仕事の効率が良く,仕事での評価も高かった。 平成27年度後半に研究成果のまとめを行った。平成23,24年度に得られたデータをもとに児童・生徒のコミュニケーション・スキルに関する研究のまとめ,論文化した。次に,平成25,26年度に得られた結果をまとめ,学会発表を行った(日本心理学会,社会心理学会, 日本心理臨床学会,国際心理学会など)。その後,結果の論文化に着手し,冬期休業期間に投稿する予定であったが完了することはできなかった(日本心理学会, 日本社会心理学会,日本心理臨床学会など)。平成28年度前半には,論文化を行う。
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